茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(504)局所的ロックダウン

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(504)局所的ロックダウン
加藤匡通
七月×日(金)
    コン打ち合番をした。炎天下、何かをしていると言うよりはただ立っているに近い状態、日陰などない。i以前より暑さがこたえる様になってきた。歳だな。
 日差しだけでもこたえる訳だが、コンクリートは固まる際に熱を出す。打設翌日の雨の日にコンクリの上に墨出しに行ったこと。かなりの降りの中墨出ししろと言われても、そもそもほとんど水たまりなのでマーカーなんか書けやしないんだが、それはともかく。コンクリの熱で貯まった雨水はぬるま湯になっていてびっくりした。コンクリの熱で一番熱い思いをするのは土間屋だろうが、夏場は固まるのも早い。熱を出すのも早くからだ。土工も合番も多少は熱い目に会う。
 最近随分合番多くないか?職人は嫌がるだろうな。だから僕が行ってるんだけど。
    夜、『ブラック・ウィドウ』を見にシネコンに行った。MCUの新作は新型感染症の影響で世界規模で公開延期になっていたから二年待たされたことになる。だが、待たされた分も充分楽しんだ。
 映画が終わって、いい気分でさあ帰ろうと車に乗ったら、エンジンはかかるがシフトレバーがパークから動かない。説明書を読んで書かれている通りにロック解除をしても駄目。うんともすんとも言わない。文字通り足止めか?この場合車止めかも。
 諦めて取りあえずレッカー移動しようとJAFを呼ぶことにして電話すると、保険で対応出来るんじゃないかと言われた。ああ、そうだったね、忘れてたよ。
    保険屋に電話した。安くあげるためにいわゆる保険屋は使っていないが、二十四時間対応の窓口はある。話をしていて、十二月に車を入れ替えてから手続きをしていなかったことが判明した。うわ、やっちまった!無料のロードサービスが使えるはずもない。個人が代理店をしているような保険屋なら何とかしてもくれたろうが、そんな融通は効かない。
 車を使う人なら大抵は何らかの形で販売店や修理工場なんかと付き合いがある。だからこう言う時は保険が駄目でも付き合いのある業者に頼めばいい。しかし僕は車に全く関心がなく、ネットオークションで入手していたくらいなので、当てもほぼない。取り敢えず今夜はシネコンのある施設に置いていく他はない。いや、ここが駅のそばで良かったよ。
 しかし無保険状態だったとは、これはやっぱり僕の落ち度だな。これまで事故もなく、ダメージの少ない状態で気がついたのだから、むしろ運が良かったのだろう。そう思わないとやってらんない!

被ばく労働を観る、聴く、考える~映画『原発はいま』の上映と元原発労働者のお話~

 被ばく労働を観る、聴く、考える~映画『原発はいま』の上映と元原発労働者のお話~

 

日時:2021年7月25日(日)14時~16時45分
場所:茨城県県南生涯学習センター小講座室1(土浦駅西口すぐウララビル5階)

参加費:500円

主催:茨城不安定労働組合

連絡先:ibarakifuantei@gmail.com 090-3902-5801(藤田)


 原発下請け労働者に焦点を当てたドキュメンタリー映画原発はいま』を上映したあとAさん(元福島第一原発収束作業員)のお話を聴きます。また、福島第一原発過労死裁判原告(ご遺族)にもご参加いただき、発言をしていただく予定です。この裁判については、福島第一原発過労死責任を追及する会のブログをご覧ください。

上映するのは原発下請け労働者に焦点を当てたドキュメンタリー映画原発はいま』(49分。制作:映像集団「8の会」、 企画:全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部  1982年製作)復刻DVDです。画質・音質ともに悪いですが、貴重な映像ですので、ご了承ください。

 

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(503)空調服

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(503)空調服
加藤匡通
七月×日(月)
 空調服と呼ばれる物がある。夏場に着る作業服だが、小さなファンが付いていて、風を送るようになっている。袖のあるタイプとないタイプがあるが、まあジャンバーにファンが二つ付いていると姿を想像すればいい。風を送って身体を冷やす訳だか、使っている最中はパンパンに張っていてあまり格好良い物ではない。
 もちろん熱中症対策だ。そんなに暑いなら無理して働かなくても、と考えるのはこの国では一部の頭のおかしな人(僕のことだ)だけ、多くの人は、マルクス主義者ですら労働依存症の賃金奴隷なので死にそうになっても働かなければならないと思っている。
 日雇派遣だった時に、派遣会社が販売していたことがある。正規で買うと二万はすると聞いたが、安く仕入れることが出来て、えーといくらで売ってたっけな。それでも一万近かった気がするなあ。 既にゼネコンによっては夏場の着用を半ば義務化しているところもあったが、ほぼ一日の日当を費やす気にはならず、買わずじまいだ。それにその頃はまだ体力があったので炎天下でもそんなに辛くなかったし、夏場の外仕事がそんなに多かった訳でもなかった。とは言っても、確かに身体を冷やせる作業服は魅力的だったのだろう、完売だった。
 V社に移った次の夏、社長が空調服を持って来た。その現場のV社の作業員全員分だ。V社は作業服を支給していて、毎夏空調服も支給していたらしい。僕は前年夏に移って来たが、その夏の支給には間に合わなかったということだ。
 だが、袖も通さなかった。身体め冷やすが腹も冷やすと聞いていたからだ。ただでさえ腹の具合は良くないのに冷やせばどうなることか。そう思うととても使う気にはならなかった。

 そしてこの夏、社長はまた空調服を持って来た。くれるというのだから貰っておくが、袖を通すつもりはない。と言って着もしない服を二着持っているのは多い。

 と言うことで去年の空調服を売ることにした。今日はなぜか一日中車が二台追いかけてくるが、知ったことか。たまたま見かけたハードオフに飛び込む。三千円だった。社長ありがとう!支援金は貰えないけど、三千円手に入りました。あなたのおかげです!

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(502)現場で西部劇は出来ない

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(502)現場で西部劇は出来ない
加藤匡通
六月××日(火)
    午前中は雨の中、スリーブを入れた。合羽を着ての作業に、元から少ないやる気はどんどんなくなっていく。スリーブは二十本、午前中には七本しか入ってない。
 今回は地中梁にスリーブを取り付けた。地中梁は建物の一番下の梁で、完成した建物ではピットになる。通常の梁に比べて高さがあるし幅と言うか厚みもある。厚みがあるとどうなるかと言えば、一人だと反対側に手が届かず、スリーブ本体の固定もウェブレンの固定も難しくなる。ところが二人でやると一人がウェブレンを持ってもう一人がそれを結束して、で半分以下の時間で終わる。
    場所によっては大工が型枠を半分、片側だけ建ててしまっていたりして、そうすると一人で取り付けをせざる得ず、ヘルメットを脱いで鉄筋の中に体を突っ込んで作業する破目になる。午前中に七本しか出来なかったのは雨の中で、しかも半分以上がこの壁際だったからだ。鉄筋で顔を擦ったり下手したら目を突く可能性もあるし、身動き取りづらいことこの上ないので鉄筋の中に入っての作業なんてしない方がいいに決まってるんだが、型枠が建っちゃったんだから仕方ない。大工のフライングじゃないかと思うが、設備は建築に対して弱い立場なので文句も言えないのだ。
 現に僕たちが作業している鉄筋の前に型枠大工が部材を置きそうになって、そこで作業するので部材を置かないで欲しいとやんわり言ったら「それが俺と何の関係があるんだよ!」と怒鳴られて、二人で顔を見合わせてしまった。僕たちが来る前に設備と大工の間に何かあったのかも知れない。けど僕たちは今日がこの現場の初日だ。随分な対応である。家族に邪険にでもされてんのか?
    今回の仕事はV社が三次だから僕は一人親方なので四次になる。一緒に作業をしているのは三次の会社の人間だ。その彼が、昼休みが開けると聞いてきた。「やっぱり今日終わらせないと厳しいみたいで、加藤さん今日残業できますか?」他の日に彼がこの現場に来る余裕はなく、かといってV社のような下請けも頼めそうにない。だから今日中に作業を終えないと厳しいと言っているのだが、正直そんな都合は知ったことではない。とは言えこの作業は一人では厳しい。「六時までなら。」お人好しだ。
    結局六時半までやった。スリーブは二十本全部取り付けた。三時の休憩なしでやったのに残業は一時間半だと言う。なんと言えばいいんだか、やってらんない。この彼は人使いが荒いのを忘れてた。次から残業は断るべきだな。
    この現場は大手が元請けで、だからだろう、色々うるさい。新型感染症対策もうるさくなっていて、現場ではマスク着用になっている。そんなの当たり前だろって?いやいや、この現場、と言うかこのゼネコンは通常のマスクに重ねて現場独自のマスクを使用するよう求めているのだ。朝礼直前に全員がヘルメットに三角の布を取り付けるのを見た時は何が始まるのかと思ったよ。
    飛沫防止なんだろうけど、そもそも建築現場はそんなに至近距離で顔を付き合わせるような作業は多くない。詰所ならまだしも、現場でマスクを二重にする意味がどれだけあるのか疑問だ。しかもこのマスク、業者毎の買い取りなんだとか。三百五十円だそうだ。この国の大企業はそうやって 下請けから吸い上げることで肥え太っていったんだな。
    このマスクは通常のマスクの上に着けているので、当然暑苦しい。その上目線を下げると視界を遮る。足下が見えないのだ。これ、建築現場じゃ致命的な問題なんじゃないかと思うんだけど、監督たちは危ないと思わないのかな?現場で転倒事故を起こしたり熱中症になるより、新型感染症の方が危険なのか?
 このマスクを見て、真っ先に西部劇の強盗が着けてる、顔の下半分を隠してるあれを思い浮かべた。朝礼の後、一斉に現場から近隣の銀行に向かうのかとちょっとわくわくしたが、残念ながらそんなことはなかった。当たり前である。しかし、西部劇ならマスクで顔を覆っても様になるが、現場でヘルメットにマスクを付けるのではまるで様にならない。みっともないだけだ。
   とは言えゼネコンが搾り取るために強盗の格好をさせるのは当然のようにも思える。何せ財産は盗みだからな。

コロナ状況下で働く人の権利 学習会・相談会

コロナ状況下で働く人の権利 学習会・相談会
7月11日(日)
13時30分~16時30分
常総生涯学習センター 会議室2(常総市天満町4684 関東鉄道常総線水海道駅徒歩九分)
13時30分~ コロナ状況下で働く人の権利 学習会 講師 加藤匡通(茨城不安定労働組合 執行委員長)
14時30分~ コロナ状況下で働く人の権利 相談会
参加費 無料
主催 茨城不安定労働組合   連絡先 090-8441-1457(加藤)

学習会と相談会の二本立!

 厚生労働省の発表によれば新型コロナウイルスの影響で解雇や雇止めにあった人は9万人を超えたそうです。解雇や雇止めまでいかなくとも、収入が減った人は多いでしょう。世界的にも、リーマンショックを上回る経済的な打撃だといわれています。企業はその打撃の痛みを、労働者に向けました。その結果の9万人です。
 そんな中でも、有無を言わさず真っ先に切り捨てられるのが、私たち非正規の不安定労働者です。私たちは多くの場合孤立していて、会社の言い分に反論もできず泣き寝入りしがちです。そんなとき、力になるのが労働組合です。労働組合は、労働者が自分たち自身の手で自分たちの問題を解決するための集まりです。自分たち自身の力で、会社と交渉をして、一つ一つ問題を解決していきます。
 会社から解雇や雇止めを一方的に告げられているあなた。収入減の補償は一切ないといわれたあなた。パワハラをされているあなた。会社の言い分に納得できないのなら、いえ納得はできてもやっぱり大変だ、それでは私の生活ができない、と思うなら、相談してください。もちろん新型コロナウイルスとは関係のない相談も大丈夫です。
 私たち茨城不安定労働組合非正規労働者を中心とした労働組合です。相談に来た方と共に問題を解決していきます。 また、当日はコロナ状況下で私たちが知るべき労働者の権利や制度的なことなどの学習会もやります。
 なお、感染症の拡大状況によっては会場使用ができない場合もあり得ます。詳しくは連絡先電話までお問い合わせください。

六月の労働相談

茨城不安定労働組合では月2回、第二第四水曜に労働相談を行っています。
解雇された、給料が払われない、休みがとれない、嫌がらせをされている、入ってみたら条件が違う、と言った労働相談から、解雇されて金がなくなり家賃が払えない、既に部屋を出されている、生活費がないと言った生活相談まで、正社員、アルバイトなどを問わず受け付けます。自営業、管理職でも大丈夫です。まずはご相談を。

 

六月の相談会は下記の通りです。

第一回相談会 6月9日 水曜日 20:00〜22:00

第二回相談会 6月23日 水曜日    20:00〜22:00

相談電話番号 090-8441-1457(加藤)

 

4月から当分の間、組合事務所での相談を中止し、電話相談そのものは上記の携帯電話でこれまでと同じ第二第四水曜日の20-22時の時間帯で継続します。(携帯電話への相談はいつでも受けつけています。お急ぎの時は労働相談日を待たずに電話してください。)

 

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(501)国際交流に失敗

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(501)国際交流に失敗
加藤匡通
六月×日(水)
 型枠・鉄筋にスリーブ取り付けをすれば当然次にはコン打ちが待っている。
 何度も書いているが躯体へのコンクリ打設での設備屋電気屋の役割は土工の合番、バイブレータのスイッチ係である。日雇派遣の時に設備屋としても電気屋としても合番はさんざんやったし土工としてコン打ちも日雇派遣でやってる。こう書いているとなんだかコンクリ打設の専門家みたいだな。わっはっは。全く専門家と名乗れないことは一ト月前の土工で再確認した。

 先日、設備屋のV社に戻って最初のスイッチ係としてコン打ちに出た。床スリーブに穴が空いたのをガムテで誤魔化したりする他はスイッチ握ってるだけ。やっぱり合番の方が全然ラクだ。これで土工より設備の方が日当が高いなんてどうかしてる。

 ポンプ屋が東南アジア系の外国人だった。ポンプ屋はベトナム人が多いので、そうだろうと思いながら聞いてみた。「どこから来たの?」「カンボジア。」まじか!カンボジア人と会話をするのは多分初めてだ。国内の政治状況とかいろいろ聞きたい、けどここじゃ聞けないなあ・・・かと言って、カンボジアのことを知っている訳でもなく、彼らも片言の日本語しかしゃべれない。会話らしい会話は出来ずにコン打ちは終了してしまった。・・・今、「彼らも片言の日本語しかしゃべれない」と書いたけど、受け入れている側が彼らの言葉を全く使えないってのもおかしな話だ。外国語の出来ない僕が偉そうに言えることではないんだが。

 今日はなぜか応援でコン打ち合番に来ている。V社の仕事が少ないからこうなる。こうなると初めての現場で初めての職人と仕事をするので、日雇派遣とほとんどやってることは変わらない。

 老人ホームの増築でまだ一階、大した量じゃない。なのに土工の人数が少なくて、電気屋共々結構動き回った。土工は土工で本体が来ておらず、応援だけでコン打ちをこなすことになって大わらわだ。電気屋はバイブの盛替えをしながら「こんなの電気屋の仕事じゃねえ。」とぶつぶつ言ってる。

 十時なしで一時過ぎに打設は終了した。ちょっと頭が痛い。軽い熱中症だろう。半日上りは久しぶりだ。見逃した『ミナリ』でも見てくるか。