茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(常雇?)(432)十連休を乗り切る自信はない

賃金奴隷な日々  日雇派遣日記(常雇?)(432)十連休を乗り切る自信はない
加藤匡通
三月××日(水)
    長いこと通っているこの公共施設新築現場ももう終わりだ。今週末には引き渡し、しかし場内はとても引き渡せる状態に仕上がっているとは言えず、大量の残工事が見込まれている。外溝は未だユンボで掘削中、部屋内も足りないパーツがあったり代用品が入っていたりと散々である。クリーニングなんてやってはいるけどすぐ汚されたり埃が舞うのでアリバイにしかならだろう。空調屋もだいぶ慌ただしくなっていて、監督たちはとうに僕と馬鹿話をする余裕もなくしている。取り敢えず引き渡し当日までと言われているが、さてどうなることやら。残工事の絡みで雑作業が出てくるのは目に見えているが、一旦終わりとなったら僕がこの現場に戻って来れるとは限らない。と言うか会社は僕を次に現場に早く入れたがっているようで、このまま空調JVの作業が終わるまで僕を引っ張った方が間違いないと思うんだが、今の監督たちにそこまで考えている余裕もない。
    去年の五月の終わりからこの現場に入っているが、夏に派遣会社の中での僕の所属先は切り替わっている。前は建築の養生・クリーニングや雑が中心の部門だったが、今は空調や衛生の設備工事の部門にいる。心が折れて、もうこの派遣会社は辞めようと土工の面接を受けたが、休みが自由にならなそうだったので諦めて部署だけ動いたのだ。給料はニ千円上がり一日一万千円になった。交通費は変わらず千円までが自己負担、一定額の日払いは出来るが全額は不可、残金は月末に精算のシステムも変わらない。ただ、給料は日払いだろうが一律銀行振込となった。毎回振込手数料が引かれるのだから馬鹿みたいである。墨出しは結局ほとんどやることなく、したがって覚えないまま終わった。
    十ヶ月も居たのに現場近辺でろくに飯も食ってない。面白そうな喫茶店やカレー屋もあるのに、立ち寄ったのは古本屋だけ。関心の在りかがそこしかないと言えるし食べることにまで金を使う余裕がないとも言える。
    安全靴がぼろぼろになってきたので新しい物を派遣会社で買った。僕たちに千円で売りつけているってことは仕入れはいくらなんだろう。振込になって、派遣会社の事務所に行くことはほぼなくなった。以前は現場からの帰り道に当たっていれば毎日、当たっていなくても大抵週に三日は通っていたのに大した変わりようである。おかげで派遣会社の同僚たちと顔を会わせることもほぼなくなってしまった。今回靴を買いに事務所に行ったのが、いつ以来なのか覚えがない。
    事務所に行ったついでに十連休中の給料支払いについて聞いてみた。一日くらい事務所を開けて日払いが出来ないかと交渉しようと思っていたのだ。給料支払いスケジュールを印刷物で既に用意していやがった。遅かったと言うより、端から交渉の余地などなかったと言うことなのだろう。設備部門の責任者は「貯めましょう」と声をかけてきた。日払い額を減らして精算日の手渡し分を増やしどうにかしろと言うことらしい。自己責任でどうにかしろと。それが出来れば日払いなんかしてねえよ!月のうち三分の一支払いが止まったら最早それは日払いじゃないぞ。政府も会社も俺たちを殺す気か!