茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(一人親方)(444)専門性とは権力である

賃金奴隷な日々  日雇派遣日記(一人親方)(444)専門性とは権力である
加藤匡通
九月××日(金)

 V社に移って三ヶ月たった。設備の雑工と聞いていたが実際はほぼ手元だった。誘われた時は配管周りのモルタル詰めや養生、清掃なんて仕事をすると、つまり慣れ親しんだ「いつもの」雑仕事と聞いていたが、始めて見たら配管や器具の取り付けと手元と言うか準配管工の扱いだった。当然そんな技能は僕にない。目を白黒させながらどうにかこうにか対応・・・出来てないかな。怒鳴りつけられる毎日なのに変わりはない。いやまあ前ほどじゃないから、それですり減ることはないが、いつまでこんなことが続くのかとは思ってしまう。五十を過ぎて年下に怒鳴られるのもどうかと自分でも思うよ。

 それでも日当は上がったし、何より身体への負担は格段に減った。去年設備の仕事に移行して驚いたのは身体がとても楽なことだった。重いものを持つこともなければ穴を掘るような重労働もない。なのに日当は二割増し以上。夏の屋上でスリーブ入れは確かにきついが、雑工の時はその程度のことは当たり前にあって、ところが今ではこれが一番きつい作業になっている。以前は楽に担げた単管の類もつらくなってきた。年齢のせいではない。明らかに楽な仕事しかしていないから体力が落ちている。重い物を楽々と担ぎ上げられることは僕の中では喜びであり誇りだったので、これは嬉しいことではない。

 雑工だったときは職人たちから見て邪魔な物を僕が動かしていた訳だが、今では僕は職人の側に立っている。邪魔なボードを動かせと言う側だ。だが、雑工と設備屋でどうして設備屋が偉いのかわからない。専門職だから重い物もってきつい仕事をするより給料がいいと?それおかしくないか?

 もっと展開しようと思ってたけどもう眠いから寝る。また四時半に起きて怒鳴られに行くのだ。