茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)『映画秘宝』が休刊する(450)

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)『映画秘宝』が休刊する(450)
加藤匡通
一月×日(水)
    年末は三十日まで現場に出た。現場そのものは三十一日と一日二日だけが休みだ。工期が詰まっているらしい。V社はどうするのかと思っていたら、社長が三日から出る、日曜も出ると言い出した。そんなに忙しいとは誰も思ってないはずだ。だが社長は「そんなに休んだってすることないだろ。」と職人たちを巻き添えにしようとしている。呆れて物も言えない。そうでなくとも体調はイマイチなのだ、休むわ!
 三十日まで現場に出ているのは珍しい。そもそも三十日まで動いている現場に当たることがほとんどなかった。日雇派遣だった頃は年末は一日でも多く出たいと思っていたので、三十日まで動いている現場は歓迎だったが、今はそこまでしゃかりきにならなくともなんとかなる。今回出たのは十二月に二度も寝込んだからだ。日当が上がっても一人親方と言われても所詮日雇い、何かあればすぐに首は廻らなくなる。
    去年はほぼ四十本の映画を映画館で見た。大学生の時に最大二百本、その後も運動に関わるまでは年間百本見ていたのからすれば激減だが、一般的には見ている方だろう。かつては『ぴあ』と『シティーロード』が頼りだったがまともな情報誌が壊滅した今、かと言ってパソコン開いて映画情報を探すのは目も痛いし何より見辛い。携帯電話は次々に見ることの出来るサイトが消えていき、探し物が出来る状態にない。映画雑誌と新聞雑誌が主な情報源となって十年近く経つ。
 その重要な映画雑誌『映画秘宝』が休刊すると聞いたのは最新号が出る直前だった。二〇〇二年頃から読んでいて、同じ雑誌を十年も読み続けると飽きてしまい、熱心な読者ではなくなってしまう。『宇宙船』の時もそうだった。だが、僕が熱心に読まなくなるのと雑誌がなくなるのは全く別のことだ。しかも今回は版元の洋泉社が親会社の宝島社に吸収されるからだと言うではないか!どうなってんだよ。最近の宝島社は面白いとは思えなかったが、もはや信用できないレベルだな。JICC出版局だった頃からすごい変わりようだ。
    漂うマッチョ感やアニメファンへの差別意識など、違和感はあったものの(後者について編集部は自覚していなかったらしいが)、今出ている映画雑誌で一番信頼出来る雑誌だったことに間違いはないので、なくなると困るし寂しい。本格的に映画の情報、わかんなくなるな。