茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(455)夜勤明けの使い方

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(455)夜勤明けの使い方
加藤匡通
二月××日(金)
   夜勤は続いているが、開始時間は十一時に戻った。相変わらずの手元である。
   夜勤明けで映画を見に行くと眠気との戦いになる。朝の九時十時は昼動いている時の深夜零時とか一時だろうから当然だな。『続・荒野の用心棒』ですら辛かったんだから、つまらない映画や抑揚のない映画は見れないだろう。タルコフスキーとか初めから終いまで眠りそうだ。
 夜勤明けで鹿嶋に行ってみた。もちろん茨城の鹿嶋、工業地帯の水源利用のために霞ケ浦に水門を設け汽水湖を淡水湖にしたことで有名な鹿嶋だ。茨城に来て最初の仕事、父が経営していた排水処理業で鹿嶋や鉾田まで足を延ばして来ていたが、何人かで動いていたので鹿嶋の街中に行ったことはない。だから鹿嶋の本屋がどうなっているのか、ずっと気になっていたのだ。
 僕のいるつくばみらい市から鹿嶋までは、僕が排水処理業をしていた干支一回り昔で二時間を越え、二時間半近かった。まだ圏央道も開通していなかった頃である。霞ヶ浦を挟んだ反対側、置きビラに行って帰って来たら丸一日かかる。そのうちそのうち、と思っていたら十年過ぎてた。夜勤明け、電車で行けば寝てりゃ着くだろ、夜までかかっても今夜は休み、夜はゆっくり眠れる。そう思って行くことにした。
   まず早朝のJR券売機の前で最初の衝撃を受ける。鹿島神宮駅が出てない。携帯で調べて行き方も運賃も知っているが、それでもびっくりした。そうか、山手線管内からだと目に入らないくらい遠いのか。
   次にどうにか成田までたどり着いて成田線に乗り換えようとしてまた衝撃を受ける。成田線は日中一時間に一本しかなかったが、それではない。待ち時間が三十分以上あるのでコーヒーでも飲もうと改札を出て、少し歩いた。記憶の中にはJR駅前に本屋が二軒あるのだが見当たらない。四年で二軒ともなくなったのか!
   そうやって二時間半以上かかってたどり着いた鹿島神宮駅を降りてまた衝撃を受ける。駅前に何もない。駅前広場が改修中なので殺風景さが際立っているが、駅表に喫茶店と花屋が一軒ずつ、駅裏にコンビニとラーメン屋が一軒ずつ、以上終わりである。さらに帰りの電車を調べようと時刻表を見て驚愕した。九十分に一本しかない!
   駅から少し離れたところに鹿島の中心街と言えるところはあるが、結局、本屋は一軒しかなかった。もう一軒はつい最近まで営業していたらしくバイト募集の貼り紙や2020とあるオリンピックの幟が残っている。いや、やっぱり十年遅かったなあ。レンタサイクルで自転車を借り、図書館まで足を延ばしたが、市役所までは行かなかった。九十分に一本を気にしたのだ。隣の潮来にも、九十分に一本でためらい降りなかった。なのに欲を出して寄ってみた香取の図書館はイマイチ、武雄書店は休業日で、なら潮来はともかく市役所には行けばよかったと後悔。
 帰りの車中では眠り続け、夜もゆっくり寝た。朝九時過ぎても寝てるなんて日曜でもないよ(日曜は九時からライダーと戦隊を見るから寝てられないのだ。)。
 市役所に何しに行くのかと言えば、市の発行している郷土資料関係の本を買いに行くのだ。たいてい教育委員会や文化課で売っている。そういう本は市役所まで行かないと買えなかったりする。こう書いていると郷土史家みたいだ。自分が住んでる地域でかつてどんな抵抗や反乱があって、今何が出来るか妄想したいだけなんだが。