茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(476)バンド入替

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(476)バンド入替

加藤匡通
九月××日(水)

 都内の小洒落た場所にある現場に戻ってきた。昼などすぐそばにインド料理屋があるのだが、汗まみれ埃まみれで店に入る気になれない。ああ、カレー食べたい。

 常駐している中国人は別の作業をしていて、僕は今回一人作業である。僕のいるV社の他の班が取り付けた天井の配管の吊りバンドの交換が僕の作業だ。コン打ち前に天日に焼かれながら取り付けたスリーブは配管を通すためのもので、配管は金属だったり塩ビだったりするものの天井から吊るされている。スリーブはあくまで躯体を通すための物なので、スリーブで配管を支えることはない。配管を支えているのは天井からぶら下がっている吊りバンドである。取り付けてから仕様が変わったようで、樹脂コーティングされたバンドからゴムを付けた耐震用のバンドになったが、「そんなもんお前ら(設備の元受け)が悪いんだろ。」、と取り付けた職人たちは交換しないので、その位ならできるだろうと僕が呼ばれたのだ。

 この現場に戻る前日、社長はバンド交換が四百ヶ所あると言っていた。「一日五十個がいいとこかな。」と社長。それはノルマが一日五十ヶ所ということでしょうか?そんなに出来るのかとびくびくしていたが、初日に設備の監督から図面を渡され、「この色のパイプは交換しなくていい。」と言われ、図面を見たら半分はやらなくていいのだと気づいた。

 バンドの交換と言っても、交換するのはバンドだけではなく、バンドをぶら下げている全ネジも交換しなければならない場合があると聞かされて、こりゃ手間取るなと覚悟した。全ネジとは文字通り全部ネジになっている二メートル程の金属棒のことである。何かを吊るしたり固定したりする時に使う。下手に切断するとネジ山がつぶれて悲惨な目に合う。固くて回らなかったり、受けのメス(嫌な表現だ)までつぶしてしまったりと散々だ。この場合全ネジは長くても七十センチ、短ければ十センチで、結構厚いゴムのついたバンドに取り換えると管の高さが変わってしまうかもしれず、そうなると付いている全ネジを外して長さを測って新しく切って取り付けなければならない。うわ、そりゃ五十個なんかいかねえや。

 ところが、そう脅かされたものの、実際には全ネジまで交換しなければならないのはごく少数だった。パイプの高さを確認して、バンドを外し、ゴム付きの物と取り換える、以上終わりのものばかり。初日はそもそも肝心のゴム付きバンドが午後になって届いたのでたいして進まなかったものの、二日目は五十ヶ所を越えた。で、意気揚々と社長に五十ヶ所越えてますと報告すると、「え、そんなに進んでるの!もっとゆっくりやってよ。その現場終わったら仕事ないんだから。」。どっちなんだよ!

 バンドはいろんなサイズがあって、足りないものが結構出てくる。材料さえそろってればもっと早く終わっていたろうが、結局ほぼ一週間かかった。明日は用事があって僕は休み、明後日出てくればバンド交換は終わる。丸一日かかる量でもないが、早く終わっても帰れる訳がないのでゆっくりやらせてもらおうか。

 で、土曜は現場あんの?