茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(479)こんなところに黒旗が その三

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(479)こんなところに黒旗が その三
加藤匡通
十月××日(土)
 火曜から現場はないが、なんだかんだと都内に通っている。今週は都内で学習会が二つあったし、他にも用はあって四日出ている。出たら出たで映画を見たりする。『ウィッカーマン』は楽しかった。『ミッドサマー』よりはこっちの方が好きだ。秤量攻めに合ってる真っ最中なのに馬鹿だとは自分でも思う。
 先日は下北沢で友人と会った。小田急線が地下に潜ってから初めて下北沢で降りたのだが、駅前の、と言うか駅そのものの激しい変わり様にびっくり。どこまでエスカレーターで上がるんだよ!とか、友人曰く「モディリアニの様な」駅舎とか、店の並びも含めて僕が知ってる下北沢とは思えない。壁ドンした改札は壁ドンした過去ともども取り壊されて跡形もない。前に降りた時から十年以上経ってるから当たり前ではある。さらに下北沢の街中に地元で馴染みのネットカフェ快活クラブを見かけてまたびっくり。都内で大展開してるけど何年持つかね?
 今日は『イリアス』読書会だった。前につまらなくて読めないと書いた、あの『イリアス』である。読書会にすれば嫌でも読まざるを得ない。巻き込まれ方はいい迷惑だろう。「我々も巻き込まれた口だ」と言ってみたいところだが、今回巻き込まんだのは僕の方なのでそんなことは言えない。二人で(そう、二人しかいないのだ!)つまらん!と言いながら進めている読書会が生産的かは問わないこと。「こんなつまらない本を読んでいるのに誰も褒めてくれない。ホメロスなのに。」とは巻き込まれた方の言葉である。んー、まあそれこそホメ・ロスだからな。

 読書会の前に『シカゴ7裁判』を渋谷のアップリンクで見た。映画館が再開されてから一体何本ここで見ているだろうか。冒頭の逮捕までをテンポよく見せる中に黒赤旗が映っていた。映画館で黒旗を見たのは随分久しぶりのような気がする。戦死者名が読み上げられると法廷にいる多くが立ち上がるが、裁判の不当さへの抗議と戦死者への敬意が混ざった起立なので僕には受け入れ難い。それは黙祷と同質のもので、僕には靖国思想と変わらないものに見える。