茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

権威と権力 読書会と労働生活相談会

権威と権力 読書会と労働生活相談会

日時 2024年12月22日(日)13時半-16時半

場所 生存書房(土浦市川口2-2-12 ) https://seizonshobo.com

13時半-15時 読書会 なだいなだ『権威と権力ーいうことをきかせる原理・きく原理』(岩波新書、1974年)

15時15分-16時半 労働生活相談会(別室にて)

主催 茨城不安定労働組合

連絡先 

電話番号 090-8441-1457(加藤)   電子メール ibarakifuantei@gmail.com

*参加は相談会だけでも読書会だけでも構いません。

 

生存書房への案内図

 

職場や仕事での上司の無茶な要求や極端な無理解はパワハラだ。パワハラとは嫌がらせ、本来ならそんなことをする人は単に嫌なことをする人、と嫌われて誰も近づかなくなるはずだが、そうならないのはたいていの場合嫌がらせをする人に力があるからだ。
人間関係とは力関係で、これは権力の問題ともいえる。
職場の権力関係をどうすれば働いている私たちによりよい方へ向けられるのか?そもそも仕事に権力が必要なのか。そんなことを考えるために、なだいなだ『権威と権力』を読んでみる。
 

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(583)日曜出勤、ないし『素晴らしき哉、先生!』

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(583)日曜出勤、ないし『素晴らしき哉、先生!』
加藤匡通
十一月××日(日)
イリアス』下巻は留置場を出てから一ヶ月かかって、ようやくを読了した。前回弾圧時も『監獄の誕生』を、出てから一ヶ月かかって読了している。この時はあと十日延びれば読み終わるのに、と本当に思ってた。今回は延長されるとは起訴を意味して、数ヶ月単位で延びるとわかっていたのでそんなことは希望していない。とは言え延びたら『歴史』とか『戦史』とかギリシアの古典を読みまくろうとは思っていた。そうでもしないと壊れていたろう。
 留置場より労働の方がましとは言っても、読書が進まないことがいいこととは思えないなあ。普通に生活していると、本を読んでばかりはいられないのはとても悔しい。
 日曜の夜は『素晴らしき哉、先生!』を楽しみにしていたが、弾圧されて何話か飛んで、やっと見れたらもう最終回だった。
 たまたま流れていた場面が恋人との別れを静かに涙を流しながら語り続けるところで、演じている生田絵梨花に目を奪われて見始め、浮気した恋人がその理由として教師になってから仕事に時間を取られて自分と会う時間もどんどん減っていったことを上げた時の、「それを私に言うなよ」に胸を打たれた。制度の、仕事の矛盾は個人に降りかかるとその個人の人間関係を、時には個人そのものをも破壊する。大きな視点で見れば、それが制度や仕事の矛盾なのだとはわかる。しかしその矛盾に直面している本人は大抵の場合どうにもならず、矛盾が制度の問題だと気がついていても、不幸として経験するしかない。それを見事に表している場面だ。
 まあ今はテレビをあとから見ることの出来るシステムがあるから、どうしても見たければネットカフェに行けばどうにかなるんだけどさ。
 久し振りで日曜に仕事に出た。同じ現場の仕事だが、今日は養生ではなかった。解体屋が工場内の壁を、工場が休みの土日に壊していてその片付けと掃除である。
 間仕切りの壁は軽天とボードで組まれている。昨日で大半を解体したらしく、今日解体する範囲は少ない。だか掃除は手間だ。石膏ボードはその気になれば素手で殴っても穴を空けられるが(怪我はするからお勧めしない)、ボード屑の細かい白い粉を撒き散らす。昨日は解体屋がいい気になってバンバン壊していたので場内は真っ白になっていたと言う。眼鏡なしでは目が痛かったそうだ。明らかにやり過ぎである。その白い粉を掃除する訳だ。
 小さい現場なら解体屋が自分で解体するための養生をして、解体した物を片付け、自分で最後の掃除までするだろうが、ゼネコン現場では解体以外全部他人任せである。これは解体屋に限らない。前後の段取りは雑工に丸投げが当たり前になっている。ゼネコンがそうしているとは言え、当たり前のように「あとはお前たちがやれ。」って顔をされるのはあまり気持ちのいいものではない。
 解体は十時には終わっていた。さて掃除が何時に終わるものかと思っていたら、解体屋がおが屑清掃を手伝いだした。いや、僕たちは三人、解体屋は十人以上だから掃き掃除の主力は解体屋と言っていい。二時間かかると思っていた掃除があっという間に終わる。解体屋は掃除が終わると引き上げて行った。まだ昼前だ。
 次はシートのばらしである。工場内を汚さないために解体する壁の外側に天井から床まで防炎シート垂らして仕切っていた。その撤去だ。天井が高いので高所作業車を使っての作業で、僕は撤去したシートを下で片付ける役である。天井近くにはコードや電気のラックがあって、その周りは丁寧にガムテープで止めてあり高所作業車の運転手兼作業員は苦労しているが、僕は下から見上げているだけ。がんばれー、とか声援を送ろうかと思ったがやめておいた。合間に機械類にかけてある薄手のシートを剥がして回る。
 丁寧な最終清掃は求められてはいなかったので三時には全て終わり、十五分頃には現場を出た。早上がりはいいものである。
 この日最初の作業は解体したボードの袋詰めだった。台車にトン袋と呼ばれる、えーと三・一一以降にフレコンパックとして有名になった廃棄物を入れる袋が乗っていて、その中にボードを入れる作業だ。ボードは分厚く重い。この一年シート養生しかしていない僕がどのくらい持てるのかと不安だった。
 案の定、ボードを持ち上げ、トン袋に入れるだけの作業で息を切らすことになった。トン袋に入れるには僕の肩よりやや低い高さまでボードを持ち上げなければならない。これが一息で出来ない。ひいひい言ってやっと持ち上がる。続けて何枚も、なんて無理だ。この現場が終わったら、他の現場で使い物になるのかな、俺。
 二ヶ月続けて電気代が大変なことになっている。七月八月の支払いが今頃なのだが、いつもの倍を越えている。八月分は二万を越えてる。一日中冷房を着けていればそうなる。使わないと母が死んでしまう。どちらを選ぶかは決まっているが、しかし高いことに変わりはない。首が回らないよ(前回も言ってた。)

十一月の電話相談

十一月の相談会は下記の通りです。

第一回相談会 11 月13日 水曜日 20:00〜22:00

第二回相談会 11月27日 水曜日    20:00〜22:00

相談電話番号 090-8441-1457(加藤)   電子メール ibarakifuantei@gmeil.com

  二十一年四月から当分の間、組合事務所での相談を中止し、電話相談そのものは上記の携帯電話でこれまでと同じ第二第四水曜日の20-22時の時間帯で継続します。(携帯電話への相談はいつでも受けつけています。お急ぎの時は労働相談日を待たずに電話してください。) 電話料金を気にしている方にはこちらから電話します。とにかく一度電話をしてみてください。 電子メールでの相談も随時受け付けています。

九月中に電話のつながらない期間がありましたことをお詫びします。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (582)自由人?誰が?

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (582)自由人?誰が?

加藤匡通

十月××日(金)

 たまに設備の仕事があると連絡が来る。前に書いたようにV社の社長の言葉は真に受けられなくなったが、他の職人からも話が来ることがある。ある程度長く続くのなら日当の高い設備の仕事の方がいい。しかし一年前のように細切れならむしろ行かない方がましだ。

 この前も電話があった。行きたいのはやまやまだが、例えば先月の弾圧時などのように、突然穴を空けたりして迷惑をかけてもすぐに戻れるのはありがたいし、他にもいろいろと恩を感じていたりはする。それなりに頼られてもいる。義理を感じてしまっている訳だ。どうしたもんかな。

 もっとも、すぐに戻れたのは建築現場だから、ではある。他人の嫌がる肉体労働、履歴書なんかなしで現場には入れるし、経歴も気にしない。聞いて回ったことはないが、大きな現場なら服役経験者は何人もいるだろう。紋々背負ってる職人は珍しくもなんともない。建築現場は前科者に寛容なのだ。言われたことを真面目にやっていれば余程のことがない限りどうにかいつくことは出来る、はずなんだがその余程のことをする者がまたそれなりにいたりもする。この間も、いややめておこう。  

同世代には会社の中である程度出世していて、早目の定年になる者も出てくる。資産も家族もあるだろうが、彼らには彼らの苦労があるだろうから羨ましいとは思わない。彼らからは、家族も作らず定職に就いているかも定かでなく映画と本に明け暮れているようにしか見えない僕はさぞ自由人に見えているに違いない。実際言われたこともある。だが本人は自分のことを自由人だなぞとはこれっぽっちも思っていない。選んだ結果ではあるものの、いろんなものにがんじ絡めだよ。

 闇バイトとやらが話題だ。そんなうまい話がある訳ないだろ、と引っ掛かって人生を棒に振る破目に陥った人たちを嗤う、あるいは説教する人は多い。そんな話に引っ掛かるほど追い詰められている人が大勢いることの異常さはあまり問題とされない。SNSの普及による問題の拡大もあるのだろうが、基本的にはまともに働いても食えない人が増えている状態を放置した結果だろう。貧すれば鈍する。追い詰められての選択は限られた選択肢しかなくなる。それは選択の自由と言えるものではない。

 選挙はそうしたことの責任を問う機会のはずだが、こと国政選挙に関しては機能しているのを見たことはない。今回も投票には行くけど、期待なんかしてない。

 起訴されたら見損ねると思っていたが、幸い『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』を見れた。前作『ジョーカー』は選択肢がどんどんなくなっていく過程を描いていて見ていて追い詰められる気がしたが、今回は選択肢がなくなっていたことを証明しようとして失敗する話だった。見終わって『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』並みに愕然としたが、考えてみればミュージカルってそういうジャンルでもあったな(以下、ミュージカルについて脱線したくなるがこらえる。)。

 見ていて留置場を思い出し、ちょっときつかった。あんなむき出しの暴力はなかったが、暴力に支えられて自由を奪う場所であることに変わりはない。

 とか思ってたら、設備の職人から電話が来た。V社はこれまで僕には二週に一度給料を払っていたが、社長が倒れて仕事は激減、ついに貯えがなくなったので、十二月の給料は一月末でないと払えない、と。とてもじゃないがそれじゃ無理だ。首が回らない。もうV社の仕事も出来ないか。職人には「じゃあ元気でね。」と別れの挨拶までされてしまったよ。バブルは完全に弾けましたと。短けぇ夢だったな。

 こんな奴のどこが自由人だよ、なあ? 

茨城育樹祭ビラ弾圧をはね返せ!

茨城育樹祭ビラ弾圧をはね返せ!

2024/11/04(月・休)

◆ デモ  13:00 ⇒14:00    JR常磐線 水戸駅・北口ペデ上に集合

◆ 集会  14:30 ⇒16:30    茨城県水戸生涯学習センター・中講座室(水戸市三の丸1-5-38  茨城県三の丸庁舎3階、水戸駅北口から徒歩15分)

★ お話:吉田哲也さん(選任弁護士代表)/ 小林成彬さん(大学非常勤講師・思想史) 

◆ 主催:茨城育樹祭ビラ弾圧救援会 × 共催:戦時下の現在を考える講座

メール:ikuju_ibaraki@proton.me|ブログ:https://ikuju-ibaraki.hatenablog.com/ |X:https://x.com/ikujusaikyuen

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水戸市にある常磐大学の校舎内に昨年の秋「建造物侵入」したとして、今年9月11日に二人の社会運動者が逮捕され、同月30日に不起訴釈放されました。二人は、去る11月に潮来市秋篠宮夫妻の出席のもと開かれた皇族行事「全国育樹祭」に反対するビラを大学で配布・掲示したのですが、その内容が育樹祭および天皇制を批判していたこと、そして当日現地でデモを実施したことこそが、警察の「報復」を引き起こした要因でした。

*この集まりでは、デッチあげで<思想・表現の自由>を踏みにじり、二人の生活を破壊した無法な警察・検察・裁判所を回って弾劾するデモの後、二人のため全力で奔走した弁護士の報告を受けて、事件の舞台であり口実となってしまった大学の歴史と現状、天皇制との関わりについて気鋭のサルトル研究者に切り込んでもらい、今回の逮捕の意味を社会的・歴史的に捉え返すことを狙います。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (581)寨の河原

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (581)寨の河原
加藤匡通
十月××日(金)
 今の現場は屋根の下、と言うか屋根裏の位置に吊り足場があって、僕たちはその吊り足場に延々とシート養生をしている。シート養生をするようになってそろそろ一年だ。
 養生は屋根を交換する際の落下物が工場内まで落ちるのを防ぐためだが、工場の機械や設備を交換するためには吊り足場そのものが邪魔になることがある。当然、工場としては邪魔な養生を剥がし、足場もばらす。
 問題は、工場と建築をしているゼネコンとの間での連絡調整がうまく行っていないことだ。監督から「××の養生が剥がれてるから直して下さい。」と言われて現場に行くと、シートをつなぎ直すのが無理なくらいにビリビリに破かれていて、仕方ないから丸一日かかってシートを貼り直したら、「工場が機械を入れ換えるために開けたから、シート剥がして下さい。」と言われるのは珍しくない。確認してくれよ、と当然思うが監督たちも突然言われるらしい。もちろん足場を一部解体して工場側が機械を入れ換えたら足場は復旧され、僕たちがまた養生をし直すのだ。
 先日も、結構広い範囲でシートがはがされているのを直した。一時期、撤去材の落下が続いていたことがあって、工場側は神経を尖らせている。それで、撤去作業前に吊り足場養生に不備はないか工場側も確認するようになっていて、確認に間に合うように直してくれ、とのことだった。下から見上げてシートに穴がないか見ているそうだ。
 五人で二日以上かかった。吊り足場養生班には他の班から弾かれた人が流れこんで来るので作業速度はやや遅い。お荷物が集まっていると言えるが、もちろん筆頭は僕だろう。
 直し終わって二、三日後に養生を剥がしてくれと言われた。工場で機械を入れ換えるから足場を一部解体するのだと言う。いやいや、工場が確認するから養生早くしろって他の作業中断して入って来た作業じゃん!こうなると工場内部で作業調整が出来てないって話で僕たちはひたすら振り回されるだけだ。今回の箇所はしばらく前に破けてるからと補修したところで、何回やるんだよ。来週初めにはまたふさいでくれと言われている。寨の河原だな。
 留置場での差し入れで頼んだ本が、釈放後に手元に回ってきた。『百億の昼と千億の夜』だった。何度読んでもいい。けど、晩年に書き足した最後の文章はやっぱりいらないと思う。押井守の解説もいらないだろ。
 人間が描けていない、と批判されたこともあるというが、そもそもそういう意味での人間を描く意図はないだろう。『百億の昼と千億の夜』で人間を描こうとすると『伝説巨神イデオン』になるんじゃないかと思うが、富野が意識しているかはわからない。

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (580)残念ながら留置場に比べれば賃労働の方が遥かにましだ

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇) (580)残念ながら留置場に比べれば賃労働の方が遥かにましだ

加藤匡通

十月×日(金)

 朝、携帯電話のアラームで起きて一階に下りてすぐに家の扉が叩かれた。こんな早くに誰だろうと思ったら「警察です。」と聞こえた。五時五十五分頃のことだ。

 その日から二十日間水戸警察署の留置場に閉じ込められた。

 宿泊費も食費も無料と言えば聞こえはいいが、自転車操業日雇労働者には刃物を突きつけられるのと変わらない。母の年金だけでは家賃と公共料金すら払えない。警察も検察も裁判所そういうことに関心もないし責任も感じない。令状逮捕の挙げ句に起訴しないのだからいい気なものである。建築現場だからあまり問題にならないものの、これが理由で失職してもおかしくないが、もちろん彼らがその責任を問われることはない。正直、警察も検察も裁判所も糞野郎だと思っている。

 留置場の様子とかはここには書かないので、関心のある人は「茨城育樹祭ビラ弾圧救援会」のブログやツイッターを見てほしい。今回の逮捕のきっかけについては「潮来育樹祭に反対する会議」のブログやツイッターを。

 以前逮捕された時はこのブログには書かなかった。今回書いているのは新聞やネットニュースに名前が出たからだ。弁護士接見で新聞記事のコピーを見た時は声をあげて笑った。過大評価過ぎる。

 普段、仕事なんかしたくないと言い続けているし、このブログでもよく書いている。だが、留置場に比べれば賃労働の方が遥かにましだ。賃労働は一日の大半を労働に費やすとは言え、自由な時間はある。留置場に自由は一切ない。

 留置場の中でラジオ体操をしていた。意識的に身体を動かさなければ座るか横になるだけ、あまり身体によくはないし、仕事に戻っても身体が動かなくなるからだ。しかし房は狭い。現場の朝礼会場でのびのびとラジオ体操出来ることがこんなに気持ちいいとは!もちろんそう思ったのは現場に戻った初日だけだった。

 ちなみに、『イリアス』はまだ下巻の初めの方である。