茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(142)二重派遣

加藤匡通
一月××日(火)
都内南部の仕事は段々に土地勘が強い地域へと移動している。今日は知人宅のある地域に来ている。昨日は現場の場所がわからず道に迷っていたらまさに知人宅前を通った。長ければ仕事帰りに寄ろうかとも思うが、この現場は他の外溝屋の応援として入っているので週末までもいないだろうな。現場と現場の間がこんな風に空いてしまうとかつてやった現場の手直しや置き場の整理といった仕事が入るが、助っ人は初めてだ。土工の時なぞは仕事が薄ければ容赦なく休まされたが(アルコール依存症だから、を差し引いても、と言っていいと思う…駄目かな?)、Y社は仕事=賃金を保証しようとがんばっている。社長大変だろうな。
作業はブロック積み、昨日はユンボによる掘削、実際積み始めたのは今日の午後になってからだ。ブロックのすぐ脇が隣地で一メートル高くなっているから土留めのコンバネを入れての作業、スペースは一メートルない。当然動きづらいので不評である。最初はエアコンの屋外機まで置いてあったがこれはどかしてもらった。でないと作業にならない。
応援、助っ人は日雇派遣でもよくあった。日雇派遣の仕事自体がそもそも助っ人だがそういう意味ではない。派遣会社同士で仕事が少ない時など仕事を融通しあっていたのだ。もしかすると人手が足りない時に人を回していたのかもしれないが、僕の記憶の中では仕事が少ない時になっている。現場での作業内容は様々だが会社名が○○ネットとか○○キャストなんかだと明らかにそうだ。そんな風に勘ぐらなくとも僕の場合は初めて行く会社だとその日の作業内容だけでなく、その会社の仕事そのものについてもいろいろと質問していたので作業前には同業者だと判明していた。たいていは本来仕事を依頼してきた元請に対しては派遣のさらに派遣であるとは言ってはいけないことになっていた。が、作業の終わりに書いてもらう伝票へのサインを元請に頼まず僕たちにとって直接の依頼主である派遣会社の人間に頼んでしまい、元請を怒らせてしまったことがある。いやいや、何やってんだか。現場の作業員同士は他社でも仲良く情報交換してた。で、条件がいいとそっちの派遣会社に乗り換えたりする。
  派遣会社同士の仕事の融通は二重派遣なので法律で禁止されている。指揮命令系統がはっきりせず、例えば事故の際に責任が明確にならないからだが、そんなことを言ったら建設現場への作業員の派遣自体が違法である。これは日雇派遣に限ったことではなく、そもそも寄せ場だろうが何だろうが労働者が建設現場に日雇いという形で行くこと自体が違法なのだ。しかしこのシステムがないと建設業そのものが効率よく機能しないから日雇い労働者の建設現場での就労は黙認されているに過ぎない。法律を厳格に適用すると日雇派遣の仕事が減ってしまう、どころか日雇派遣という形態がなくなってしまう。そりゃ困る。二重派遣が出来なくなったら仕事も減る。なので僕は日雇派遣への法規制に反対なのだった。こう言うと「自分で首を絞めてる」とよく言われるが、僕は現行の日雇派遣の他に自分の都合のいい日に働けるシステムを知らない。確かにピンハネはひどいし労働者は個別に分断されているが、他にうまくその日その日で仕事を探せるシステムがあるのなら教えて欲しい。(自分の都合のいい時に働きたいなんてワガママだと言われるかもしれない。ワガママなのは認める。けど、僕は賃労働のために生きてるんじゃない。)
下車駅のいくつか手前は僕が通っていた都立高校の最寄駅だが、僕はこの高校に歩いて通えたのでその駅で下りた覚えはほぼない。僕が通っていた高校は、僕が一年生の時に校舎を新築したが都知事石原の命によって統廃合の対象となり○三年に閉校、跡地には私立高校の新築校舎が建っている。だから、その駅からその都立高校へ通う者はもういない。