茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(141) サンポールとマスカー

加藤匡通
一月××日(土)
雨がずいぶん降ってないなと思ってたら雪が降って休みになった。しかし問題はコン打ちした土間である。仕上げた直後にブルーシートなんかで養生しておかなかったのが既に失敗で、建物本体がまだ仕上がってないからいろんな職種が出入りして歩きまわり、建物裏手は芝を貼るので土がむき出し、 外溝屋としては泥天端だけ決めておけばいい、土の高さだけ出して後は植木屋任せだからとても楽だが当然みんな泥の着いたその足でコンクリの上に上がるのだ。土間はたいがい滑り止めの刷毛引き仕上げで、泥はよく刷毛目に入るんだよ、これが。ちなみにコンクリはツルツルピカピカに仕上げようと思えば見事にピカピカに出来る。比喩ではなく文字通り鏡のようにすることが出来るのだ。初めて現場でコンクリ壁に自分の姿を見た時は声をあげたよ。躯体が鏡になるなんてびっくりだ。鏡な訳だから実によく滑る。危ないからT字箒で刷毛目を入れてギザギザにする訳だ。コン打ち翌日に養生はしたものの、雪まで降って刷毛目は泥だらけになった。
泥汚れのまま引き渡すわけにもいかないので水洗いすることにした。ホースで水をかけながらデッキブラシで目に沿ってこするが多少薄くなる程度なのでサンポールをかけてさらにこする。手が荒れるのは間違いないので薄いゴム手袋をした上に厚手のゴム手袋をしている。が、まあサンポールが直接かかっているところは色が落ちてるが他はイマイチ落ちが悪い。そのうちにデッキブラシより力が入れやすいので亀の子ダワシを使いだす。けど劇的には落ちない。
翌日は屋内駐車場の壁の塗装。なんでこの作業まで廻ってきたんだろ?駐車場は昨日また土間屋を呼んでコン打ちをしている。塗装で土間を汚すと大変なのでマスカーテープで養生しとけということで朝から土間に養生をしようとしているが、コンクリ乾いてなくてテープはまったくつかない。マスカーテープとはペンキ屋がよく使ってる細いガムテープに透明のビニールがついてるやつだ。ビニール部分は畳まれていて引っ張ると伸びる。接着面のテープが細いからいかんのかと下地に普通のガムテを使ってもやはり駄目。こりゃ無理だ、ブルーシート敷いて重し置くか、とか考えてたら職人から「なんだよ、プロじゃなかったのかよ。スプレーとか買ってくりゃいいじゃないか。」と嫌みを言われた。スプレーのりでも乾いてないコンクリートじゃ無理だし、はがした跡がベタベタですよ、と言おうかと思ったがさらに面倒なことを言われるだけだろうから止めといた。確かに日雇派遣で養生クリーニング屋に行く機会はかなり多かったが、あの仕事はむしろ苦手だったとはこの日記にも何度か書いている。むこうが絡みたいんだから仕方ない。
  養生の後は現場の片付けに回わり、延々とゴミの仕分けをしながら現場内をきれいにしていく。外溝屋は一番最後に撤収するので現場を最後に片付けるていくのも重要な仕事である。と言うか、片付いてないと施主に引き渡せないのだ。これがゼネコン現場のハコモノだと最後の片付けはクリーニング屋の仕事になる。
そして今日は塗装の残りをなぜか僕が塗っている。壁をローラー刷毛で塗っていたが下はどうしても塗り残しになる。もしかしたら本職のペンキ屋はローラー刷毛だけで下まできれいに仕上げられるのかもしれないが、外溝屋にはちょっと無理だった。で、一番下だけ刷毛で塗っとけと。まだガムテはつかないので、あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り返し、用意された刷毛が大き過ぎることに気付いた。近くの金物屋で細筆買って来たら、ほとんど養生なしで行けてしまい、だいぶ作業は楽になった。