茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(181)『ワールド ウォー Z』

加藤匡通
十一月×日(木)
   ユンボの後ろ、尻尾の位置に(ユンボキャタピラー部分と運転席部分が別構造になっていて、腕の着いている運転席部分はいくらでも回転できるから、前後の区別がつかず混乱するんだが)土や障害物を押しのけるための板のようなものがついている。現場では「はいどばん」と呼ばれているのだが、僕はなんとなく「ハイド板」と書くのだと思っていた。
  『ワールド ウォー Z』はゾンビが蔓延し崩壊した世界がどう再生したかを証言だけで描いていて、ゾンビ物で感動するとは思いもしなかった傑作である。今日帰りの電車の中で読んでたら、ゾンビの死骸の山の中からブルドーザーの排土板を使って道を作ると言う描写があって、ようやく正しい「はいどばん」の表記を知った。いやあ、本当にゾンビにはいろんなことを教わるなあ!
   ついでに思い出したこと。古本屋でアンドレ・ゴルツを探していた時期があった。もうだいたい入手したと思うから、かつてのように熱心に探してはいない。で、ゴルツの翻訳をよくやってる人で、「権 寧」と言う名前の人がいた。どう読むのか見当もつかないが、何冊か入手してもどこにもルビはないし訳者紹介もない。仕方ないから仮に「ごん ねい」としておいた。どんな読み方なのかとわくわくしながら、あくまで仮に、である。断っておくとこれは九十年代中頃の話で、分からないことをパソコンどころか携帯電話で検索出来るなんて想像も出来なかった頃である。携帯電話を僕が持ったのは九十年代末(こういう記録は公安の方が詳しい。正確にはいつでしたかね、公安の皆さん?)、当時はまだ携帯電話も持ってない、幸せな時代である。何年かして入手したゴルツの本に訳者紹介があり、「おお!」と読んだらなんと「ごん ねい」とあった。がっかり。(でもこれ、本人には失礼な話ですね。権寧さんごめんなさい。)