加藤匡通
五月××日（金） 長靴に穴が空く
長靴に穴が空いちまった。
現場で穴掘ってたら長靴の中がざらざらする。ひっくり返して中の土や砂を落としてもすぐにざらつく。何だろうと足元をよく見たら、長靴にパックリ口が空いている。あまりに見事で本当に長靴に口が付いてるみたいで面白い。でもこれ三カ月しか経ってないよなあ、早くないか。毎回こんなもんだから長靴の寿命ってなあこんなもんけ？下駄と変わらないじゃん。
使っているのは安全長靴、爪先に鉄板の入っているタイプだ。日雇派遣の頃からコン打や水替仕事の時はこのタイプを使ってきている。短かった土工時代、安全長靴ではなくゴムの安全足袋が憧れだった。地下足袋だと水が染みるがゴム足袋だと濡れないし、鉄板入りだから安全というスグレ物だ。恰好良く見えたんだよ、ホント。しかし結局買う機会はなく僕は安全長靴のままだ。また三千円近く払わないと。
