十一月×日(月)
加藤匡通
ハウジングシステムという不動産屋から郵便が来ていた。いや、正確に言えば郵便局経由ではなくて宅配便会社経由なんだが、まあそれはとりあえずいいや。そんな名前に覚えはない。そもそも不動産なんかに縁はない。開けてみると、「破産対処のご案内」とあって自己破産して官報に載ったのを見て、不動産の処分がうまく行かないならお手伝いします、とあった。官報、もう載ってたのね。いろんなところに商売の機会を見つける人はいるもんだなあ、と感心しながら見ていたが、競売事件のながれという図があって「配当要求の公告」というところに「現在、あなたはこの地点にいます。今が一番大事な時です!!」とか「この時点では手遅れです。後は最悪の結果になります。」とか不安をあおることばかり。他人の弱味につけ込んで商売するのはよくないなあ。
独立、開業、起業ともてはやすけどみんながみんなそんなに上手く行く筈がない。その意味ではこういった仕事にも一定の需要があるのは分かる。うちに送って来ても不動産なんかないから関係ないけどな。
