茨城不安定労働組合

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日雇い派遣日記(64)焼き鳥の誘惑、その他の誘惑

十一月××日(月)

                 加藤匡通

 新しい現場は隣が焼き鳥屋である。十時頃にはおいしそうな焼き鳥の匂いが漂ってくる。朝六時前に朝食を食べている者ばかりなので十時ともなれば腹も減ってこよう。そこへ焼き鳥の匂いと来れば、そりゃみんな買いに走るさ!焼きたての焼き鳥や揚げたての唐揚げがまたうまいんだな。みんなビールがあれば最高と言うが、それは無理。運転があるし、いかに半袖OK煙草もOKとは言ってもそんなにゆるい建設現場はさすがにない。(お前がやってただろ、とは言わないように)というかそれは事故の元だ。聞けばこの現場に来ていた職人はみんな休み時間になると買いに来ていたとか。そりゃそうだろう。
 現場から一、二分で銭湯もある。寒くなってきたので風呂で毎日体を温めて帰りたいところだが、なぜかこのところ用が立て込んでいてなかなか入れない。
 この現場の最寄駅はJRと私鉄が一つづつある。私鉄の方が少し遠いかな。JRは九百三十円、私鉄は九百十円と私鉄の方が二十円安いがJRの乗り換え二回に対して乗り換え四回、時間も朝だと十分以上かかる。JRの駅近くにはマックがあって寒い朝はコーヒーが飲めるし、と誰にしているのかよく分からない言い訳をしながら朝はJRを、帰りは私鉄を使うようにしているが、これまた用があると早いJRを使ってしまう。
 で、帰り道の楽しみは古本屋である。確認しているだけでJRルートで三軒、私鉄ルートだと六軒、もちろん下車、乗換駅だけの勘定だ。最早かつてのように高い本には手が届かず(高いたってたかが知れてるんだが)百円均一狙い。買った本全部なんかとても読めないのにどうするんだろうとは自分でも思うが、辛いことが多いんじゃ、本買うくらい好きにさせてくれー。(本買って映画見て生活が苦しいとか言うなって?えーと、健康で文化的な最低限の生活をですねえ、えーと…)