茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(128)信号トラブルと留置場で見た夢 

加藤匡通
十月××日(火)
通勤電車のつくばエクスプレスは事故の少ない電車である。全線地下ないし高架で踏切がない上全駅ホームドア設置、そりゃ事故も起きなかろう。高架なので風には比較的弱いはずだが武蔵野線京葉線のように風が強くなるたびに止まるわけでもなく、今日も快調に百三十キロで突っ走っている。…それはスピードの出し過ぎでは?
三日に一回は事故やらで電車が停まったり遅れたりといった表示を電光掲示板で見ている気がする。むかしはそういった表示は改札前に貼り紙がしてあったと思うが、今はもっぱら電光掲示板で気づいている。
今朝もそういう表示を眺めていた。僕が乗り換る路線のずっと上の方、終点に近いあたりで信号トラブルだという。まあそんな先なら関係なかろう。そう思って気にもせず乗換駅で切符を買い改札をくぐった、ら、下り方面の次の電車の表示は着いてるのに僕が乗る上りの表示は真っ黒だ。ホームに上がると駅員がマイクでしゃべっている。電車は当駅でしばらく止まる?時間通りだと最寄駅にかなり早く着くから構わない、待ちましょうかと余裕を見せながら(誰に見せているのかよくわからないが)停まっている車両で待っていると、この電車は当駅で運行中止とアナウンス。ちょっと待て、それは嬉しくないぞ。改札に向かうと駅員は運行再開までそれほど時間はかからないと言い、再びホームへ上がると再開の目処は経たないと言う。どっちだよ!この状況で再開待ってても現場には着かないよなあ。
結局つくばエクスプレスで先の駅に出て、そこから歩いて現場に向かった。実は毎日帰りはその駅まで歩いているのだ。片道三十分。で交通費が百十円安くなる。朝は疲れるからやりたくなかったんだけど仕方ない。駅に着いたのがそもそも遅かったのでもちろん遅刻である。ま、事情が事情なので文句は言われない。他の人はみな車なので到着時間は前後する。むしろ基本的には僕が先に着いている。一番下っ端なんだから当たり前かもしれないけどな。
  こういう場合は差額が返ってくるはずもなく、時間もいつも歩いている以上に待ち時間がかかっているからむしろ損をしているんじゃないか。…こうして全てを金に換算する自分が嫌だ。僕は金のために生きてるんじゃない。貨幣なぞ僕の実存には何の関わりもないはずなのに。
何度か逮捕されたことがあるが、留置場で見た夢で覚えているのは一つだけだ。脱走したが金も携帯電話も持っていなくて何も出来ず途方に暮れる夢だ。僕が何に縛られているのかをあまりにもはっきり示していて泣きたくなってくる。僕はなぜ賃金奴隷なのか?自分で自分を奴隷という身分に縛り付けてるんだよ。