加藤匡通
十月××日(土)
銭湯で『東京銭湯ぶらり湯めぐりマップ』を買った。前に書いた『銭湯お遍路マップ』の新しい版ね。全ページカラーなのに三百円と相変わらずの廉価である。各区の銭湯が出ていて便利だし、こんなところにもといったたのしみもある。多摩市や稲城市にもあるなんてちょっと驚くよね。反面、前回はまだ載っていた羽村市はなくなっている。東京の市部だと武蔵野、府中くらいは現場帰りに銭湯に寄ったことがある。
現場のすぐ近くにも一軒あって、それはこの本で知った。目の前を通っているのにまるで気がつかなかったのは僕が呆っとしているのもさることながら、マンション一階という立地でわかりづらい上に営業時間には別ルートで帰り道を歩いているからだ。定休日じゃないし、今日は雨に降られたし帰りに一っ風呂浴びて行こう。そう思って汚れた作業服を着替えもせずに銭湯に行ったら、シャッターが下りている。貼り紙を読むと臨時休業となっていた。毒づきながら件の本で近くの銭湯を探す。この辺りは銭湯も多かろうよ、入れる入れる。徒歩十分圏内に三軒出ているが一軒は休業、あとの二軒は、おお二軒とも今日休業じゃんか!何だよ。
それでも風呂には入りたい。仕方なく汚れたまま電車に乗り、乗換駅で下りて銭湯に行った。湯が薄くだが色付いている。表示はないけどここ温泉なのか?(東京の温泉は黒湯である。従って温泉を使っている都内の銭湯はたいがい湯が黒い。初めて見た時はびっくりした。濃いとこはほんとに真っ黒なんだって。)