茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

 賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(158)本日の予定

加藤匡通
六月×日(水)
  連休明けはK社への応援に三日通い、そのあとは安アパートの中の一軒と高級住宅地の中の一軒のニヶ所が同時進行だった。それももうすぐ終わり、本日メインの予定は高級住宅地の方の玄関前にラストン、小石の樹脂舗装だが、この作業は雨では出来ない。今日は雨予報なので出来ないな、昨日職人たちも多分休みって言ってたし、といつも通りに起きはしたものの着替えもせずに休みモードの朝食を採っていた。映画見て今日こそ組合の仕事片付けてそれから。テレビでは降りは少ないと言っていてそれが不安だが、そうは言っても手数料引かれるのヤだから今日の昼間地元の銀行で金下ろそうと昨日コンビニでも金下ろしてないし。電話が鳴った。「今日仕事だから。新しい現場に入るから。」がちょーん!組合の仕事いつすりゃいいんだよ?
   現場はJRの駅のそば。車は入りづらそうな場所だ。八時には到着、合羽が必要な雨の中、初日で道具どころか靴もダンプなので何も出来ず、狭い軒下で雨を避けつつ待つこと一時間。車検で代車だったはずのダンプが元のダンプに戻っていた。朝、置き場に何の連絡もなく戻って来た車検済みのダンプに満載だった荷物を積み替えて遅くなったらしい。
  朝あわてたので失敗をした。軍手を左左で持って来てしまったのだ。綿軍手なら左右はないが僕が使っている背抜きのゴム手袋は左右があるので組み合わせを間違えると大変使いづらい、と今日実証出来た。左右があるとは手の形に合わせて手の平側に手が曲がるようになっているということなので、左手用のゴム手袋を右にはめていると右手は絶えず手の甲側に引っ張られ続けることになる。これ、かなり痛い。しかもゴム引きになっていない軍手むき出しの面が手の平なので泥の付いたスコップを握れば手は濡れる泥は染み込む。コンビニに走って買えばよかった。一日やったら指が痛いよ。
  弁当がないので昼は食べに出た。駅前の商店街を歩いてたら本屋があって、何の気なしに顔を向けると「本屋の意地 岩波意地の100冊」と手書きの貼り紙があって、うれしくなって岩波現代文庫の『歌集 小さな抵抗』を買ってしまう。昔の本屋は岩波書店の本があって一人前と言われてたというが、岩波は買取制という恐ろしい出版社なので街の小さな本屋で売るには大変な負担になるのだ。こういう意地には応えたくなるじゃないか!(本屋の片隅に陽に焼けた岩波書店の本を見かけることがあるのはこのためである。かつて健闘していた証しなので見かけるとついつい手を伸ばしてしまう。店の方でも定価より割り引いて売ってくれることも多いのが、何とも切ない。)