茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(179)羞恥プレー

加藤匡通
十月×日(水)
   しばらく前にK社に応援に行った。最寄駅に着いたら何故か土砂降り、今日はどうなることやらと思いながら現場に向かう。元請けの住宅展示会の会場の一つなので、土砂降りだろうがやらなきゃならない状況と知ったのは、雨の中を散々道に迷い傘を差しててもリュックはびしょ濡れ、やっと現場にたどり着いて顔馴染みの他業者との世間話でだった。外溝なんて手付かずにしか見えないが、フェアまで一週間もないのだ。Y社でたまたま現場と現場の間が開いた日に応援として行ってる。そう言やスケジュールが厳しいと言ってたような。
  この日の作業は自転車置き場の設置である。背の高い金属製の柱が既に建ててあり、それに屋根を掛け、後日下の土間をコン打ちしてから自転車を置く台というか棚というか柵というか、そんな物を設置する(名前はサイクルラックだから棚ですかね。棚というより柵と言いたい形だけど。)。僕たちは屋根掛けだけ。しかしこれが結構面倒で、脚立を昇ったり下りたりを何度も繰り返す一日仕事になった。
   その休憩中でのこと。当然その現場の本体であるK社の職人は大勢いる。そこに混じってY社の僕たちも休憩しているのだが、現場が大変なので普段は一つの現場に張り付くことのない社の番頭さんも常駐していて、僕に話かけて来た。「加藤さん、ブログの名前教えて下さいよ。」絶句。Y社の職長から聞いたという。だろうな、とは思っていたがやはり読んでましたか。しかしそれを衆人環視で言われるのはちょっと……。名前で検索しても見つからないのだと言う。ああ、それは字を間違えてます。マサミチのマサは国の点と縦棒がない字です、ええ、国造りに展望がないです。と本人の政治思想を的確に反映した名前の説明をしたが(親は後悔しているであろう)、なんで僕はここで親切にも自分の墓穴を掘らにゃならんのだ?早速検索して発見したらしく、題名読み上げて笑い出した。あうう、勘弁して下さい〜。
   組合ブログの中のこの「賃金奴隷な日々」は、僕個人の仕事と地域での生活を書いている(こっちの分量が多くなって組合ブログを侵食してしまっているが、それは本意ではない)。僕自身は実名を出しているがそれは顔と名前をさらさないと信用されないと考えたからである。運動に関わってそろそろ二十年近くになる(今打ってて愕然とした。もう二十年か!)し逮捕歴もあるので今更公安対策で名前を隠す気もない。と言うか地方に来て運動始めてパルタイ名(と言うのだ、運動で使う名前を)できちんと関係作ってけるような器用さなんて持ってないよ。けれども他は会社名も個人名も出してないし地域名も特定出来ないようにしている。元請けとのやり取りや現場の人間関係を詳しく書けばもう少し面白くなるのにと思ってる人はいるだろうけど、そこまでは無理。晒せるのは僕の名前までだ。具体名を出せばさすがに文句が来るだろうし、僕の周囲にいる人々が僕のストリップに巻き込まれるいわれはない。当然、書きたくても書けない話はたくさんある。職場の人間が読んでいるかいないかに関わりなく、名前を晒した段階から制限はかかっちまう。そりゃ自主規制くらいするさ。それを考えると塩山芳明は凄え(以前やってたみたいに編集しないで雑誌掲載そのまままとめてたものの方が面白いと思う。)。
  いや、しかしやっぱやりづらいな。