茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

相継ぐ死刑執行への抗議声明

相継ぐ死刑執行への抗議声明
人命を軽視する社会を私たちは望まない
  

  九月二十七日に仙台と福岡で二名への死刑が執行されました。八月三日にも執行があり、二ヶ月連続、今年で三回目です。相継ぐ死刑執行に、茨城不安定労働組合は抗議します。
民主党政権は当初死刑には慎重な態度をとろうとし、また「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げていましたが、もはやすっかり忘れ去ったようです。死刑とは、戦争と同じく個人には許されないが国家には許されている殺人です。どのように言いつくろおうとも死刑の執行は社会に対して、人命は軽視してよい、というメッセージとなります。
 民主党政権、特に野田内閣はこの種のメッセージを強く発信し続けています。事故率の高いオスプレイの沖縄への配備の強行はその一つだし、首相就任直後から原発の再稼動を言明し続け、実際に大飯原発を再稼動させたこともその一つでしょう。
 そして「社会保障と税の一体改革」として社会保障を切り詰めつつ逆進課税の消費税の税率を上げたこともそうです。すでに来年度予算案では生活保護費は切り下げられています。生活保護費の不正受給は件数で全体の1.8%、金額では0.38%とわずかな数字ですが、その疑いだけのものも含めてマスメディアは叩き、政権はそれに呼応する声を利用して改革案をまとめる前から厚労相が保護費の切り下げを口にしたりしていました。しかし、今の生活保護という制度の運用の仕方ではまだまだ制度を必要としている人々を救えていない、窓口で申請を抑止する水際作戦は続けられているし、色々と理由をつけての保護費の打ち切りも行われています。窓口の職員たちも一人一人の担当する件数はとうに適正な範囲を越えています。そのような状況で社会保障を切り詰めるということは、人の命を軽視していることでなくて何でしょうか。かなしいことに今の私たちはこの国ではお金を持っていなくては生きていけません。生活保護費を切り詰めていくことは、即、人の命を切り詰めていくことなのです。
 私たち茨城不安定労働組合は労働相談だけでなく、生活相談も受けています。それは具体的には生活保護を受けたいが窓口で断られてしまうので何とかしてほしい、という相談であったりします。私たちの組合だけでは対応出来ず、他の団体にお願いすることもしばしばですが、それでも相談窓口は多い方がいいと考え相談を続けています。私たちは「労働者」に限らず、全ての人の生きていく権利を保障するべきだと考えています。死刑は、この考えに真っ向から対立しています。
 人の命を奪う権利は存在しません。存在を許してはいけないのです。国にはその権利があるというのは間違っています。死刑は存在してはいけない刑罰です。民主党の政策の中では人命を軽視してよいという思想が一貫しているようですが(それは自民党でも変わらないでしょう)、私たちはそのような政策を、政権を望みません。人は、誰もが生きていていい。私たち茨城不安定労働組合は、相継ぐ死刑執行に、そして人命を軽視する政策と政権に抗議します。

2012年10月16日 茨城不安定労働組合