茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(180)岩井シネマサンシャイン休館

加藤匡通
十月××日(火)
   最近ずっと六時三分みらい平駅発の電車に乗っている。もちろん現場が遠いからだ。先日乗り損ねて久し振りに二十四分発に乗ったら座れなかった。東京へ通勤している人が増えてるのか?それはつまりつくばの人口が増えてるってことだよな。住んでる奴に言われたくないかもしれないが、放射能気になんないのか?みんないろんな事情にがんじがらめで身動きとれないってことなのか?
   『2000人の狂人』と言う映画を見た。最初期のスプラッターで、八十年代にビデオが出ているから映画館で見る機会なんてないと思ってたら何故か今頃監督の特集上映が組まれて、大画面で見ることが出来た。稚拙と聞いていたのでビデオを借りてダメージ受けることもないかと見てはいなかったんだけど、映画館でやると言うのなら話は別だ。別の日に同じ監督の『血の祝祭日』も見たが、こっちの方が出来はさらに悪い。頭に赤ペンキぶっかけてその上で動物の内臓握りしめて「脳みそ抜いた」って言われても説得力ないもんな。連続殺人犯が追い詰められてゴミ収集車の荷台に乗り込み押し潰される結末に至っては、いい加減さに笑ってしまう。どっちもフィルム上映じゃなかった。フィルム上映は急速に消えつつある。
   見たのは渋谷シアターNである。旧ユーロスペース跡地に入った映画館で、ホラーやロックのドキュメンタリーをよく上映しているところだ。だいぶお世話になっている映画館だけど、来月で閉館だと言う。ここもかよ!渋谷はかつて誤って「ミニシアターの聖地」と呼ばれたほどにミニシアターがたくさんある地域だったが、ここ数年で激減している。バブルがはじけた?そうかもしれない。しかしすごい減り方だぞ。
  同じくもう二十年以上お世話になっている、地下鉄の音が聞こえるので有名な銀座シネパトスも来春に閉館する。銀座・有楽町はおしゃれなミニシアターより場末感漂うここで見る方が圧倒的に多い。こちらは映画のある地下街が老朽化と言うことで丸ごとなくなるらしい。
  浅草はとうとう映画館が全滅した。新聞で知ったんだけど、中映、名画座、新世界の三館が閉館とあってピンク館のことが触れられてなかったのでピンク館は残ってると思っていたら、『映画秘宝』にピンク館も閉館と出ていて愕然とした。ほぼ一年前に見に行って、二館共通のトイレにびっくり。トイレが共通ってことは行き来が出来ると言うことで、シネコンとは対極のあり方だ。おおらかだよなあ。映画館はかつては座席指定もなく各回入替もないおおらかな場所だったが、今では観客は見事に管理されている。これでピンク館を除けば都内で三本立てをしている映画館はなくなったことになる。
  さらに追い討ちを掛けるかのように、茨城の岩井シネマサンシャインも来年一月で閉館と知った。やっぱり県南シネコン増えすぎだろ。岩井は県南じゃなくて県西だけど、影響は南からだよ。僕の家から車で三十分、スーパーの二階のシネコンで、僕の中では三軒茶屋シネマ(と言うより三軒茶屋東映)のシネコン版なのだが、余所の設備の良さには太刀打ち出来なかったらしい。何回目かの『ヱヴァQ』を、岩井で見ることは出来るだろうか。