茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(183)四時からコン打ち

加藤匡通
十一月×日(木)
  受け渡し日が三日後で土間にコン打ちと言う日に雨が降った。土間は仕上げなのでこの雨では無理だろう。でも時間がないからコン打ちはともかく出来ることをやるんだろうと、一日合羽着て作業のつもりで家を出た。六時三分みらい平発の電車がホームに入ってドアが開いたら携帯が鳴りだした。休みになった。
  都内まで出て日中しか上映していない『アナザー・カントリー』を二十数年振りで見ようかと思ったが、母親の見たがっている『終の信託』を見ることにして回数券にハンコを押してもらい改札を出た。日中しかやっていなければ仕事が早上がりでも見るのは難しい。日曜は用事が入るしなあ。『アナザー・カントリー』、初公開の時は六本木の俳優座シネマテンでレイトショーが中心だったので当時高校生だった僕は見に行くのに苦労した。結局人気があったので昼間も上映されてどうにか見れた。今は労働者なので反対に昼間だけの上映で見に行くのに苦労している。主演のルパート・エベレットにすっかりやられ、公開作品は見に行くようにしているが、最近出演の告知があまりされてなくてよく見逃しているのは、ルトガー・ハウアーと同じだ。軍事教練を馬鹿にして抗議する場面があって、兵役拒否の観点からも見ることが出来るが、もちろんそこが楽しみの映画ではない。あの頃あった六本木の映画館はすべて閉館している。
  翌日、つまり今日は当然コン打ちである。早めに準備が終わり予定を繰り上げてもらおうと生コン屋に連絡したら前日の雨で流れたコン打ちが集中、もとから予定に入っていた分も合わせて生コン屋は手一杯だと、まあ当たり前と言えば当たり前の答が返って来た。生コン車が来たのは四時前。それでも五時半にはどうにか終わったが、それは職人が技を使って強引に土間を仕上げたからだ。外は真っ暗、手元も怪しい上にコンクリは水も退いてないのに仕上げられるとは、びっくりだ。
  コン打ち段取りが終わった段階で生コン車が来ていれば早上がりだったのに、とは考えない考えない(現場の誰もがそう思っているのだ)。