茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(243)書庫を眺めながら寝る

加藤匡通
一月××日(水)
  アイパッド片手に歩き廻る仕事は無事終了した。住宅が密集している地域なら一日三百軒は廻れるようになったが、それ以上はアイパッドの充電が保たなくて無理。車で充電出来るとか言われても、休憩中にエンジンかけてるだけじゃろくに貯まりゃしない。要求された軒数は二百五十まで増えたが、それよりはこなしている。けど、この軒数が妥当なものなのかはよくわからない。精度とか言い出したら怪しいような気もする。この仕事はひたすら歩きながら家を見ているだけ、楽と言えば楽なものだがアイパッドをバンドで手に付けたまま朝から歩いてると、手が冷たくて冷たくて。冬の朝の寒さを指先でこんなに強く感じるのは一体いつ以来だろう。
  今日から日雇派遣で建設現場に戻っている。今日は大学の校舎新築のクリーニングでJ社に入っている。引き渡し前の施主検査前のクリーニングなのでウエスと水の入ったバケツを持って一日拭き掃除。教室の中をひたすら拭き続け、とうとうあかぎれが出てしまった。
   詰所は地下駐車場のすぐ脇の部屋で風が通り抜ける。そうでなくても今日の天気予報は雪、昼休みを凍えて過ごすのはたまらないので、昼寝しに行くJ社の職人にのこのこ着いて行った。暖房の効いた小部屋、ではなく廊下があり、J社の職人たちは隅っこに散らばって横になっている。僕も寝ようと横になって正面を見ると、一面のガラスの向こうは移動式の書架になっていた。ここは図書館の地下でもあるのだ。もちろん本はまだ入っていない。こういうのあれば、うちの本も見やすくなるんだけどなあ。
   朝からJ社の職長は「今日は残業」と言い続けている。施主検査前のクリーニングの量が多過ぎるようだ。二時間付き合って、やっと終わりと言われた。もう拭き掃除、飽きた。つまらん。