加藤匡通
一月××日(火)
珍しく月9のドラマを見ている。この時間帯のドラマを見るのは何年振りだろう。そもそもドラマなんてリアルタイムで見るのは年に三シリーズあるかどうかだ。融通の利かない超合理主義の女性理系研究者と自称高等遊民の男性ニートの見合い話を僕は笑いながら見ている。しかし母はこのドラマが嫌いで僕が見ている間は新聞を読んだりしている。家が狭いのでテレビが嫌でも逃げ場はないのだ。高等遊民の男性が寄生対象を母親から妻に変えるために結婚したいのが気に入らないらしい。もう現実に発生している事態だと思うし、充分ありうる判断だと思うが、納得できないんだろうな。もしかすると自分と同居している駄目な息子を重ねて不愉快になっているのかもしれない。確かに、結婚なんて考えることはないものの、あの境遇は身につまされるものがある。いやー、お母様、不甲斐ない息子で申し訳ない。わっはっは。