茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)がんばる理由

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)がんばる理由
加藤匡通
十一月××日(火)
 先日、朝、作業が始まり撤去材の運搬をしていた。撤去材の運搬はバケツリレーのように手渡しで行われている。五、六人の時もあれば十五、六人の時もある。人数が少ないと撤去材を持って歩かないとならないが、多ければ多いほど歩かずに済むようになり、最終的には一歩も歩かずに撤去材が流れていくようになる。一旦リレーが始まると「ストップ!」とか声を上げないと流れは止まらない。
 AIが仕事を奪うとか、自宅でリモートとかどこの話なんだろうって感じだ。リモートでバケツリレー出来るんならやってみせろよ。人の手がかからずに終わる労働なんてあんのか?
 バケツリレーの最中に携帯が鳴った。最近作業中にかかって来る電話はほぼ職長からだ。しかし今出るのもためらわれる。電話に出たらバケツリレーは止まる。解体屋が撤去材を生産している真最中なので、搬出が止まると撤去材が溜まってしまう。僕が電話の間だけバケツリレーから抜ければ流れは止まらないが、一人一人の負担は増える。
 バケツリレーが一旦終わってから電話を返した。やっぱり職長からだ。「加藤さん今どこ?今日来てる?」「来てますよ!運搬してますよ。」「朝礼の時いた?」「隣にいたじゃないですか!」「気配消さないでよ-。」全く気がつかなかったらしい。
 朝礼で気づかないと言うことは、サボってどこかに隠れててもわからないと言うことでは?いてもいなくてもわからないのなら、現場に行かなくともいたことに出来るのでは?はっ!この技術を洗練すれば、働かなくても金が入ってくるようになるのでは!よし、明日からがんばるぞ!