茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)養生が追いかけてくる

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(563)養生が追いかけてくる
加藤匡通
十二月××日(水)
 日雇の工場改修の現場は続いている。このまま居着くような気もする。それはそれでいいか。
 撤去材の搬出から養生に作業が変わった。稼働中の工場の改修なので養生するところはいくらでもある。でもそれ養生屋の仕事じゃないの?僕たちは運搬がメインじゃないの
?新規で運搬工って書いたじゃん!
 この現場にはちゃんと養生屋が入っている。以前日雇派遣で何度となく入っていたI社だ。パトロールで来たI社の人間を見た時にはびっくりした。十年近く前に通っていた大きな現場の職長だったからだ。あの頃はまだ三十代の前半で細身だったがすっかり恰幅がよくなってた。もちろん向こうは気づかない。三十人以上をまとめていて、本人は現場に出ずに管理をしていたが、あれはI社の出世コースだったんだな。
 やるのはI社と同じ、吊り足場の養生である。天井からチェーンで足場を吊って組んであって、その上に防炎シートを敷いていく作業だ。足場の下には機械が並んでいる。もちろん何も落とせない。I社は四人しかいなくてとても追いつかないので僕たちにも養生が回ってきた。僕たちは応援だ。
 足場が組まれているといっても、この足場は穴だらけ、ダクトや何やが顔を出している。さらに段差が頻繁にあったりする。これを養生?これはかなり難易度が高いのでは。
 しかも養生班の頭に回された。常時五人程度だが、養生経験者はほぼいない。一番経験があるのが僕だったのだ。てか、経験ないしでいきなりこの養生は無理だろ。
 始めてわかった。やっぱり無理だった。いくら言ってもテープを防炎シートに密着させることすら出来ない。「加藤さんは作業しないで見て回って指導すればいいから。」と職長は言うが、僕も作業しなきゃ全然進まないし、手直しを始めたらきりがない。I社の養生とは雲泥の差だ。
 養生が嫌で逃げてきたのにな。I社の本体はもちろん、日雇派遣の時の養生屋も、僕が養生班の頭と聞いたら笑うだろう。
 と、言う話を買い物に行った先でしたら、「加藤さん養生に好かれているのでは?」と言われた。がーん。ま、まさかそんな。