茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

総合支援資金貸付制度って…

一昨年の派遣切りの嵐が過ぎ、昨年末から今年始めの「公設派遣村」を経て、失業・貧困問題に関するマスコミ報道も減り、人々の関心も薄れているのかも知れません。しかし、県内の雇用状況は依然最悪で、派遣切りに遭った後、1年以上も職に就けないまま失業給付で暮らしていて、ついに給付が切れて生活に逼迫する人から相談が寄せられます。

その中の一人、筑西市市営住宅に入っていたMさん。(この件は以前生存のための生活保護申請 - 茨城不安定労働組合で報告しました。)最終的には本人の希望で、以前にもこのブログで紹介した(第2セーフティネット - 茨城不安定労働組合)第2セーフティーネットといわれる貸付制度をいよいよ利用することになりました。

Mさんは、窓口機関である市社会福祉協議会を通じて県社会福祉協議会に総合支援資金貸付の「生活支援費」と「住宅入居費」の申込みをするのですが、住民票やハローワークでの資料など必要な資料をすべて市社協に提出し終えてホッとしたところで最後に「借用書に印鑑登録された実印」を押すように言われたそうです。ところがMさんは、失業給付が切れて、同時期に緊急入居していた市営住宅から民間アパートへの転出を求められていたため、移転のための手続き費用などに残りのお金を使ったため、もう手持ちがありませんでした(同時に臨時特例つなぎ資金の融資も申し込んだ)。そのため印鑑登録ができず、結果として貸し付けの申し込みができない事態に陥りました。

焦ったMさんから茨城不安定労組に連絡が入り、印鑑登録の費用(700円)を貸し付けたので申請はできたのですが、これは何かおかしいと思ったので、2/16(火)に厚生労働省に電話してみました。

対応したのは厚生労働省社会援護局地域福祉課の担当の方。結論から言うと、総合支援資金貸付では保証人を必要としないなど、住居を持たない人など困窮している人でも申請できるよう昨年、要件を緩和して創設した制度であり、制度上は印鑑を必要としておらず、ましてや実印も求めていないということでした。ただし、実施主体は都道府県社協なので、そこの運用として実印を求めているかも知れないとのこと。

そこで実施主体である茨城県社会福祉協議会に電話して問うたところ、対応した生活支援部のオニザワ氏は「借用書は契約書と同じなので身元保証として実印を求めている」との回答。こちらの「手持ち金が無くなった人にとっては印鑑登録ができないと事実上総合支援資金への申請ができないことになる。
制度の趣旨からしてその条件は緩和できないのか?」という問いかけに、しばらく保留して何か相談した後、オニザワ氏は「茨城県社協としてはそのように運用している」とあくまでも実印が必要であると回答してきました。

茨城県社協がそのような基準を示してしまえば、県内すべての市町村社協で申請に実印を求められることになります。その日を暮らすお金にも困る人にとっては700円の印鑑登録料も払えないことがあるのです。小さな障害でもそれがあることで入口が閉ざされてしまうこともあります。県社協はあくまで民間法人であり、国の事業の委託?をされている立場で、国が示す基準より厳しい内規を作って福祉制度へのアクセスを制限するのは問題ではないでしょうか?

この件については、茨城不安定労組として各支援団体とも連携して茨城県社会福祉協議会に対し何らかの申し入れを行っていきたいと考えています。