茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(254)メーデーに賃労働

加藤匡通
五月×日(木)
  雨の中、メーデーなのに賃労働。メーデーに働いてるのは何年振りだろう。もちろんいいことじゃない。会社員辞めてから、この日に賃労働した記憶はない。ゴールデンウィークで金がないとは言え、嫌になって来る。今日休むかどうかはまったくもって僕一人の判断である。ええそうですとも、メーデーを休めなくしているのはワタクシでございます。
  この国最大の労働組合の集合体である連合がゴールデンウィーク前半の休日、あるいは四月のもっと早い時期にメーデーをしているのはよりによって経営者からの「平日に仕事を止めないでくれ」と言う要請を受け入れたからだが、茨城反貧困メーデー等の独立系メーデーの場合は逆で平日に休めないからだ。つまり経営者に負けている。無論、八時間労働を獲得するための戦いから始まったメーデーは平日だからこそ仕事を休んで集会とデモをするのが正しい。しかし職場単位の労働組合に入っていない労働者が、あるいは組合にも入っていない非正規労働者が自分の休みたい時に休んだらどうなるかと言えば、職を失うのだ。結果五月一日に行われるメーデーはあろうことか少数派に転落し、この国で今日メーデーを戦っている労働者は激減している。僕のような末端の自由労働者が休めるほどに奴らとの力関係が逆転出来るのはいつのことだか。畜生待ってろ。(計画性を持って金を貯めていれば、日雇派遣なら今日は休めたはずだ、とは問題の本質ではないので問わないこと。)
  耐震構造物のコンクリ打設も終わり、工事は山場を過ぎた。今はひたすらクリーニング。耐震構造物はベランダの先にある形なので住人からすればベランダが広がったことになる。床にこぼれたノロをケレンし掃き掃除をして、既存のサッシもきれいにする。何度も書いているが嫌いな作業なので、監督から物を動かしてくれとか言った細かな雑を廻されると職長はクリーニングから雑に逃げて回っている。
 今日は四人の予定が三人しか来なかった。派遣会社の手配ミスだ。まあどうにかなったからいいや。やることいっぱいだったら人を寄越せと言いもするが、そこまで切羽詰まってないし、たいていの場合急遽空いた穴を埋められる人手はない。
  帰りに渋谷まで出て岸田森特集を見た。吉永小百合の『斜陽のおもかげ』と桜田淳子の『愛の嵐の中で』のニ本立て。『斜陽のおもかげ』では吉永小百合の相手役として知的な、しかしいささか無神経な二枚目を演じていたのに『愛の嵐の中で』では桜田淳子と夏純子を相手にどう見てもおかしな美容師を怪演していた。ニ本の間は十年離れてはいないが見事な振れ幅だ。この特集であと何本見れるだろう。死ぬまでに出演作品を全て劇場で見られるだろうか。劇場のちらしで本多猪四郎の特集を今上映中なのにも気付いたが、モーニングショーだけじゃ無理だ。客が集まるとは思われてないんだろうなあ。
 ニ本見たら十一時前。帰れなくはないが終電、寝るのは一時で起きるのは四時半。それじゃきついのでいつも行くカプセルホテルに泊まった。不景気で宿泊料金を何時からでも二千五百円に値下げしていたが、今夜は二千八百円になっていた。アベノミクスの成果はこんなところにまでもう及んでいるのか、と愕然としながら受け付けに聞いてみた。「消費税で上がったんです。」なるほど流石低所得者に厳しい消費税!やっぱりアベノミクスだったか。