茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(337)友朋堂と芳林堂

加藤匡通
三月××日(火)
 友朋堂書店はつくばで展開していた(と過去形で書いているのがまた悲しい訳だが)書店である。先月突然ツイッター上で閉店が告げられ仰天、途方に暮れた人は多い。が、最近はボイント還元の誘惑に負けてブックエースを使っているので僕にはあまり悲しむ資格はない。筑波書林、崙書房のふるさと文庫(違う出版社が同じレーベルを共有している珍しい例。フォア文庫とも違う形でそれぞれの出版社が別々に同じ本を同じレーベルで出している。)をまとめて並べている店はここしかなかったし、人文科学、社会科学関係が多く、棚を見ているだけでも楽しい本屋だった。数年前に僕の家から一番近い店舗(とは言っても十キロ以上離れている。)が閉店したものの市内に三店舗展開していて、本の売れない時代に苦戦してはいるかもしれないがいきなり三店とも閉店なんて事態になるとは夢にも思わなかった。本屋にとって取次店の存在がこれほどにも大きいものだったのか。
  そう思っていたら芳林堂書店の倒産である。こちらは池袋本店の自社ビル丸ごとの閉鎖とかであまり良くはないと思ってはいたものの、まさか倒産するとは思わずやっぱり絶句。最近は立ち寄る機会がなかったけど、九十年代、特にサラリーマンをしていて営業に出歩いていた九十六年まではよく通っていた。運動に関心を持った当初、渋谷の大盛堂と並んで池袋の芳林堂は社会主義関係の本が豊富でお世話になったのだ。二軒とも、他では見かけない七十年代に刊行された本が並んでたもんなあ。大盛堂は元から駅前だった店がさらに駅前に移転したら品揃えががらりと変わり、社会主義云々のはるか以前にまるで面白味がなくなって覗きにも行かなくなった。芳林堂は池袋本店が建物ごと消えて高田馬場に本店が移ってから、高田馬場に行く機会そのものがあまりないので行かなくなった。その本屋行くだけのために動くことは僕の場合ほとんどないからだ。業績不振が長く続いた上に取次の問題が重なっての倒産だと言う。
  そして今回の連鎖倒産の原因だった取次の大洋社が、芳林堂の倒産の影響で倒産した。芳林堂の倒産がそもそも大洋社の自主廃業のあおりを受けてのものなので、こうなると原因と結果が入れ子になってよくわからない。最近、中堅取次店の倒産続いてるな。普段取次店の役割はよく見えないが、こんな形ではっきり見せつけられるとは。
 僕が来てからの十年に気付いただけで、土浦、つくば、水海道、取手、藤代、つくばみらい、岩井、石下で十一店の本屋が閉店している。閉店したのは個人商店だけではなく大手チェーン店も含む。つくばみらい市から撤退した文教堂のことだ。ビラを置きに行く度に棚から本が減っていき、行く度にまだ大丈夫かとびくびくしている店もあって、この流れは止まりそうにない。たまらないな。