茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(常雇?)(420)電車の中のありふれた光景

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(常雇?)(420)電車の中のありふれた光景
加藤匡通
十一月××日(金)
  秋葉原駅からつくばエクスプレスに乗った。大抵は座るために電車を見送ったりするが、まだ少し時間が早いからか、丁度入って来た電車ですんなり座れた。リュックを抱えて眼鏡と本を取り出し赤江達也の『「紙上の教会」と日本近代 無教会キリスト教の歴史社会学』を読み始めた。向かいの席では女性が文庫本を読んでいる。僕の側にも一人、文庫本を読んでいる男性がいる。一時期車中で本を読む人が極端に減った気がしたが、最近は少し戻ってきたかな。のんきにそんなことを考えていた。
  発車間際に僕の隣に僕よりやや年上の会社員風の男性が座った。しばらく気にせず読み続けていたが、男性が雑誌を読み始めたのでふと覗いてみた。安部とか中国とか韓国とかの単語が勇ましげに並んでいる。判型は論壇誌のサイズだ。文春かと思いながら、じろじろ見ていると思われないように途切れ途切れに目を凝らすと『Hanada』だった。こいつ俺の隣でよりによって『Hanada』読んでやがんのか!
  車中で『Hanada』を読んでるのは初めて見たが、『諸君』『正論』は珍しくなかった。もちろん『世界』は珍しい部類である。従って『インパクション』は見たことがない。新聞を読んでいる人はめっきり減った。ニュースはスマホで見るのだろう。一般紙はともかく、スポーツ紙と夕刊紙を読む人は本当に見かけなくなった。かつて帰宅時間の男性会社員が読むのはどちらかだったが、実はみんな活字を求めてたんじゃなくて暇つぶしが欲しかったんだなと、今更に思うよ。増えているのは産経である。朝など新聞を開いている人の半分以上が産経で残りはほぼ日経、他紙を見ることはかなり少ない。通勤時間に新聞を読むという習慣を保っている者の多数派が産経だとは、実に暗い気分にさせられる。安いから、だけじゃないだろうな。