茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(503)空調服

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(503)空調服
加藤匡通
七月×日(月)
 空調服と呼ばれる物がある。夏場に着る作業服だが、小さなファンが付いていて、風を送るようになっている。袖のあるタイプとないタイプがあるが、まあジャンバーにファンが二つ付いていると姿を想像すればいい。風を送って身体を冷やす訳だか、使っている最中はパンパンに張っていてあまり格好良い物ではない。
 もちろん熱中症対策だ。そんなに暑いなら無理して働かなくても、と考えるのはこの国では一部の頭のおかしな人(僕のことだ)だけ、多くの人は、マルクス主義者ですら労働依存症の賃金奴隷なので死にそうになっても働かなければならないと思っている。
 日雇派遣だった時に、派遣会社が販売していたことがある。正規で買うと二万はすると聞いたが、安く仕入れることが出来て、えーといくらで売ってたっけな。それでも一万近かった気がするなあ。 既にゼネコンによっては夏場の着用を半ば義務化しているところもあったが、ほぼ一日の日当を費やす気にはならず、買わずじまいだ。それにその頃はまだ体力があったので炎天下でもそんなに辛くなかったし、夏場の外仕事がそんなに多かった訳でもなかった。とは言っても、確かに身体を冷やせる作業服は魅力的だったのだろう、完売だった。
 V社に移った次の夏、社長が空調服を持って来た。その現場のV社の作業員全員分だ。V社は作業服を支給していて、毎夏空調服も支給していたらしい。僕は前年夏に移って来たが、その夏の支給には間に合わなかったということだ。
 だが、袖も通さなかった。身体め冷やすが腹も冷やすと聞いていたからだ。ただでさえ腹の具合は良くないのに冷やせばどうなることか。そう思うととても使う気にはならなかった。

 そしてこの夏、社長はまた空調服を持って来た。くれるというのだから貰っておくが、袖を通すつもりはない。と言って着もしない服を二着持っているのは多い。

 と言うことで去年の空調服を売ることにした。今日はなぜか一日中車が二台追いかけてくるが、知ったことか。たまたま見かけたハードオフに飛び込む。三千円だった。社長ありがとう!支援金は貰えないけど、三千円手に入りました。あなたのおかげです!