日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇派遣)(529)求められているのは機械、歯車
加藤匡通
四月××日(金)
さらに別の派遣会社に登録、と思ったがあまりいい条件の会社が見つけられなかったので、また倉庫に行くことにした。募集していた三月後半は繁忙期だったので時給で二百円増しだったが今月は通常通り、一日一万を越えることはないだろう。
ブランド物の流通倉庫に行き、一日ひたすら段ボール箱を組み立て、別の日には段ボール箱を潰し、また別の日にはタグを取り付ける。付けてるタグの金額見てびっくりした。こんなちっちゃくて何も入らないバッグがそんなにすんの!そんなことを思う余裕はあるものの、一日本当にそれしかしてない。文字通り脇目も振らずにただそれだけをこなす。
かと思えば大手スーパーの流通倉庫でひたすらスポーツ用品を段ボール箱から取り出す。こっちは多少作業に幅があって、段ボール箱片付けたりとかあって、ブランド物より楽だった。
流れ作業の工場で働いたことはないが、こんな感じなんだろうな。あるいは刑務所の作業か?いや、あっちの「文字通り」は比喩になってない。脇を見たら懲罰が待っている。チャップリンの『モダン・タイムス』を思い出した。ここで働いている現場の人間はみんな歯車だ。『ノマドランド』の物流倉庫は僕が働いた倉庫よりは人間的に見えるけど、本当のところはどうなんだろうな。
そろそろV社の仕事が戻ってくると社長は言ってるけど、期待すると外された時痛いからなあ。