茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

「生活保護申請を記録して逮捕って何だよ?!」―生存権を求めたA君は無罪だ―に参加して

                      加藤匡通

 十二月二十三日は君主の誕生日を祝うという大変反動的な悪い日で休日とされてしまっていましたが、僕は都内で仕事、その帰りに参加しました。
 大阪で起きた、生活保護申請をなかなか受付てくれないので申請者自身がビデオカメラで撮影しながら申請したら生活保護そのものは下りたものの、後日撮影を公務員に対する職務強要罪として逮捕・起訴されいまだに囚われているという信じがたい事件についての集会です。生活保護申請への同行は現在僕たちの組合で受付ている相談の半分以上を占めています。その意味で今回の“デッチ上げ”は他人事とは思えません。申請者一人では受付ない保護申請を同行者がいると受付るということはA君のカメラの導入と同じ、当事者間の密室性を他社の視線にさらす・公開させることなので、今回のこの事件を許してしまえばゆくゆくは生活保護への同行申請まで否定されかねません。
 そんなことを考えて集会に向かいました。
 参加は八十名程、急遽取り組まれたにもかかわらず会場は満員でした、報告・発言の中で特に僕の関心をひいたもののひとつは自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛さんの発言でした。厚労省からは再三申請受理の通達がでているのに生活保護申請の窓口では申請をさせないように指導する「水際作戦」が続いています。申請受付けの窓口と実際に案件を担当する窓口は別で担当するケースワーカーの仕事量は既にパンクしていて、受付窓口とケースワーカーらの窓口の間では新たな申請受理をめぐって深刻な対立が起きている。また自治体の財政としても大変厳しく新たな申請を受ける余裕はなくなりつつある、ということでした。
 また山谷労働者福祉会館活動委員会の方からの発言も印象的でした。活動の中心は日雇い労働者への支援から恒常的な失業によって野宿が常態化しており野宿者支援へと移っていることを前提として、生存権の保障の具体化、当然の権利として受けられるべき生活保護が行政からの恩恵であるかのように行われてしまうという役所との力関係を変えるために、申請を集団で行い要求が通るまで役所前での集団野営を行っているそうです。
 山谷ともやいでは生活保護に対する考え方が対称的になっている面があります。「派遣村」以降、失業し住居を失った人々に対して生活保護申請をして住居を確保するという方法が一般的になりましたが僕はある種の違和感を抱えながら制度を利用しています。「派遣村」のずっと以前からの失業による長期の住居喪失者=野宿者と派遣切りによる住居喪失者に本質的な違いはありません。「時期」でなぜ両者の線引きがなされてしまうのか、生活保護申請がむしろ運動の側からも線を引くことになりかねないのではないかという危惧を持ってしまうのです。線引きをさせないために大変な努力が払われていると聞いているので、取り越し苦労なのかも知れません。しかし行政側がその線を引きたがっていることは今年の「官製派遣村」からも明らかです。もちろん生活保護は現状における最低限の、必要な制度でそれはこれからも使っていくべきだしより使いやすくさせていくべきだけれども、この線引きを許さず、どうすればその線を消せるのかを考えながら制度を使っていかなければとあらためて思ったのでした。
 会場の大久保地域センター前はいつものように公安警察がたむろしていました。鬱陶しいのでぜひ民主党政権には事業仕分けでも何でもして公安を取り締まって欲しいと思います。