茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

第2セーフティネット

昨年の今頃に比べると、失業者、生活困難者への支援は大分拡充されてきている。
以前は、社会福祉協議会の貸付(生活福祉資金貸付制度)といえば、保証人が必要だったり、民生委員を介さなければならなかったり、派遣切りに遭って切羽詰っている人にとっては「使えない」制度だったが(派遣切りその後 - 茨城不安定労働組合)、昨年「生活福祉資金」の中に必ずしも保証人が必要でなく、長期(20年)での返済が可能な「総合支援資金」が新設され、少し使い勝手がよくなっている。
以前このブログで紹介したX市のMさんは、この制度を利用して部屋を借り、仕事が見つかるまでの生活資金を借りる申請をした。
ネックとなっていた部屋の保証人もNPOもやいにお願いできて、失業給付が切れる前に何とかなったとホッとしていたところ、MさんからのSOSが入った。
聞くと総合支援資金の「生活支援費」の申し込みをしようと手続きを市の社会福祉協議会で行っていたところ、最後になって押印する印鑑が「実印」でなければならないと言われたとのこと。実印とはつまり市役所に印鑑登録をした印鑑だという。当然Mさんは登録などしていなかった。そのため登録手数料の700円を貸して欲しいというのだ(印鑑証明をとればプラス200円だ)。
しかし、保証人も立てない融資で、住民票やハローワークの資料その他で身元もわかっており、何のために印鑑証明が必要なのか?!本当に形式だけの問題ではないか!!
ただ、手続きが遅れると本人の生活が厳しくなることは間違いないので、とりあえずすぐにお金を振り込んだ。
念のため、厚生労働省総合支援資金についてのWebサイトを確認したところ、必要書類の最後に「印鑑」とだけある。実印でなければならないなんて決まってないのでは??この辺の形式主義は何とかならないものか。

ちなみに、総合支援資金についての少し調べたので、概要を下記に記しておきます。(キ)

<総合支援資金の対象世帯>
 失業者等、日常生活全般に困難を抱えており、生活の建て直しのために継続的な相談支援(就労支援、家計指導等)と生活費及び一時的な資金を必要とし、貸付を行うことにより自立が見込まれる世帯であって、次の(ア)〜(カ)のいずれの条件にも該当する世帯。
(ア) 低所得世帯であって、収入の減少や失業などにより生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっていること
(イ) 借入申込者の本人確認が可能であること
(ウ) 現に住居を有していること、又は住宅手当緊急特別措置事業における住宅手当の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
(エ) 実施主体及び関係機関から、貸付後の継続的な支援を受けることに同意していること
(オ) 実施主体が貸付及び関係機関とともに支援を行なうことにより、自立した生活を営めることが見込まれ、償還を見込めること
(カ) 失業等給付、就職安定資金融資、生活保護、年金等の他の公的給付または公的な貸付を受けることができず、生活費を賄うことができないこと

※低所得世帯とは、直近3ヶ月の収入の平均が低所得世帯の収入基準(H21年度の場合、単身:177,000円、2人世帯:261,000円、3人世帯:319,000円、4人世帯376,000円、5人世帯411,000円)以下であるか、または 「住宅手当対象者証明書」が発行されている世帯です。

<生活支援費>
生活再建に向けて就職活動等を行う間の生活費
【貸付限度額】
単身:月額15万円以内
複数世帯:月額20万円以内 の必要額
【貸付期間】
通算12ヶ月(初回申請は6ヶ月以内)

◆連帯保証人:原則として必要。立てられない場合は有利子での貸付可。
       子育て世帯への優遇貸付は連帯保証人不要。
◆貸付利子:連帯保証人を立てた場合は無利子、立てられない場合は年1.5%の有利子。

◆償還期間:生活支援費の貸付終了の翌月から6ヶ月の据置期間を経て、20年以内で償還。子育て世帯への優遇貸付は、10年以内で償還。 ※いずれも最終償還年齢75歳

◆必要書類:
(1) 総合支援資金の「借入申込書」
(2) 「健康保険証」の写し及び「住民票の写し」
(3) 世帯の状況が明らかになる書類
(4) 連帯保証人の資力が明らかになる書類
(5) 求職活動等の自立に向けた取り組みについての計画書
(6) 借入申込者が、他の公的給付制度または公的貸付制度を利用している場合
または申請している場合は、その状況がわかる資料(ハローワークが発行する「住宅手当・総合支援資金貸付連絡票」の写しまたは「求職申込み・雇用施策利用状況確認票」の写しなど)
(7) 借入申込者の個人情報を、総合支援資金の貸付に必要な範囲において関係機関に提供することについて記載されている同意書
(8) 住宅入居費の借り入れを申し込む場合は、上記に加えて次の書類
(a)入居する住宅の不動産賃貸契約書の写し
(b)不動産業者の発行する「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し
(c)自治体の発行する「住宅手当支給対象者証明書」の写し
(9) 総合支援資金の「借用書」
(10)その他、社会福祉協議会が必要とする書類
(11)印鑑