常陽新聞 2010年1月7日
路上生活者の年越しを支援するため、龍ヶ崎市川崎町のNPO法人・茨城県南生活者ネット(松原卓朗代表)は12月31日夕、同市兵衛新田町の牛久沼湖畔で炊き出しを行い、雑煮や雑煮やデザートのリンゴを配布した。同会では初の試み。
同会の会員たちが雑煮入りの鍋やカセットコンロを持参し、雑煮などを提供。
しかし路上生活者たちは見慣れない人々に警戒したせいか、最初は2人ほどが姿を見せただけ。2人は雑煮を受け取ると、「おいしい」などと言って久しぶりの温かい食事を口にした。次第に警戒心が薄れたのか、4〜5人が集まってきた。
「溶接や大工の仕事をしていた」という元大工の男性(65)は「妻ががんで亡くなり、(妻の)入院費などで一文無しになった。行くところが無くなってここにきた」と、これまでの境遇を語った。
また「2年前に(牛久沼湖畔に)きた」という元土木作業員の男性(69)は、「10年以上前から路上で生活を続けている」と語った。
支援者によると、牛久沼湖畔では約15年前から廃屋にビニールシートなどを使った小屋ができたが、路上生活者たちが建築廃材などを持ち寄って小屋を改築し、現在では3棟ある。電気やガスなどはなく、元大工が生活している小屋には、路上生活に入る前からの生活用品などがあるものの、照明はロウソクのみ。
小屋では約7人が廃金属やダンボール回収などでかろうじて生計を立てている。
支援者の1人は「生活保護受給は可能だが、住所がないのが障害」と述べるとともに、いまだに市民の間に根深い「偏見の壁」など、支援の難しさを語った。