茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(46)ゴム手も溶ける夏

            加藤匡通

八月×日(火)

ふだん使っている軍手は「グリップ」とか「グリップ付き」という商品名のもので、手のひらサイズ の部分が緑色のゴムに覆われているタイプである。手の甲の部分は八割ゴムがなくて、そこから「背抜き」と呼ばれてもいる。ゴムの色は緑の他にも青やオレンジがあるが一番よく見かけるのは緑色だ。全面ゴム引きのものは全ゴムと呼んでいるが、これは多分僕だけの呼び名である。背抜きは半ゴムと呼んでいる。手の平がゴムだと物をつかんだりした時に滑らなくていいので。しかし全面ゴムだと蒸れるので(夏場はそれで皮が剥ける)半ゴムを愛用してる。
この半ゴム軍手はコンビニで売っている。このタイプを使い始めた頃は現場への行きがけにコンビニで買っていた。もう十四、五年経つような気がするが価格は三百六十八円とか三百九十八円から変わっていない。最近はワークマンで三組一袋のものを買っているが、それで五百円前後。やっぱりコンビニ高いよ。と思っていたら割と近くの(今そのまま「近く」と打ち込もうとして手を止めた。十キロ先、車で移動する「近く」ってなんだ)ホームセンターがワークマンより安かった。安さに弱いルンプロは当然買うわな。
ところが、一度使って洗濯してまた使おうという当たり前のことをしたら、緑のゴムが溶けて洗濯物にベタベタとくっつくのだ。鞄の中も暑いし家の中も暑い、物干しだって暑いからどこで溶けたのかさっぱり分からないが、使おうと思っても手にベタベタとつくし持ち運べにも困ってしまう。溶けているのはゴムのふちの方なので、現場で何かを握ったらゴムがついた、なんてことはない。しかしなあ。
箪笥に入れっ放しにして一夏過ぎたら溶けてくっついてたことはあったさ。けど一回使っただけでこれじゃ早過ぎるだろ。
かくして安かった半ゴムは一度使って即廃棄。いつも使っている半ゴムよりゴムが薄くて使いやすかったんだけど、溶けちまうんじゃしょうがない。たまたまゴム手がなくなっていたので現場近くのコンビニで買おうと思っていたら、ふだん使っているタイプがない。代わりに「ネジ・釘・ワイヤーを使う作業に最適」というかなり薄手の半ゴムが置いてあった。値段はいつものとおんなじだ。こういうタイプが置いてあるということは需要があるということだ。この辺り、工場でもあるのかな。で、使ってみたがゴムが薄くて一日で穴が空いてしまったよ。