茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(285)耐火被覆補修、リサイクル編

加藤匡通
十一月×日()
最近同じゼネコンで派遣会社が一次の仕事が続いてるなあ。今僕のいる派遣会社はこのゼネコンに何現場持っているんだろう。今日は新しい現場だ。JR駅近くの公共施設である。
午前中は他職の資材搬入の手伝い。午後はピット内清掃。そして三時の一服のあとに今日の白眉とも言える作業がや待っていた。
  耐火被覆と言うものがある。火事になっても鉄骨が熱で溶けないようにする吹き付け材で、ガラス繊維とセメントで出来ている。これを吹き付けておかないと火事になったらコンクリの建物でも鉄骨が曲がって倒壊するのだ。作業は高所作業車に乗って長〜いホース抱えて行う。こう書くと消防士を思わせる格好だが、作業員は顔までタオルなんかで覆っているし、何より全身綿埃まみれなので実際に見て消防士を思い浮かべることはない。灰色の綿くずを吹き付けているように見えるが、ガラス繊維なので体に着くと痛痒いので基本的には立入禁止で行われる。もちろん吸い込むのもよくない。セメントはガラス繊維を固めるために混ぜられていて、まあどっちも体にいいもんじゃない。十年以上前に今の派遣会社ではない別の会社で×××の×××にこの耐火被覆屋の手元として入っていたことがあるけど、その時はミキサーにセメントをあけて攪拌機にガラス繊維の塊を砕いて入れる作業を延々とやっていた。セメントは何も加えず水で溶いている状態、ガラス繊維は攪拌機で細かく砕かれ綿のようになってセメント水と共に空気でホースの中を押し流されて行く。ちなみに攪拌機は何本かの棒が組み合さって回転してガラス繊維を砕く機械だが、棒が回転している部分は投入口なので間違って手を入れたら手が持っていかれてなくなってしまう危険な装置である。いきなりやらせんなよ、そんな作業。この耐火被覆は固まってもがっちりと固くなるのではなく、道具などなく指でも力を入れれば剥がしたり穴を空けたりできる。空気を含ませて吹き付けているから中はスカスカなのだ。僕たちには、他職が金具取付のために鉄骨の耐火被覆を一部剥がしたので、取付たあとにまた耐火被覆を付ける作業が回ってきた。普通は専用の見た目はセメントそのままの補修材を耐火被覆屋が小手を使って塗っていると思うんだが、この現場は違った。耐火被覆は吹き付け時に大量に下にこぼれ落ちる。これは本当に見た目はまんま綿埃で、耐火被覆屋の手元の仕事の半分はこのこぼれた耐火被覆の掃除なのだ。集めた耐火被覆はガラス繊維の塊が入っていたビニール袋に詰めて捨てられるが、職長の指示はその袋から耐火被覆のくずを取り出して水に濡らして貼り付けろ、だった。驚いた。聞いたことがなかったからだ。バケツに水張って耐火被覆のゴミを投入、水を切って貼ると言うか埋めていく。まあ、セメントも混ざってるから付くと言えば付く。しかしこんなの初めてだよ。どうなってんだ?経費節減ってか。水の入ったバケツに手を突っ込みので軍手は役に立たない。かと言って代わりにゴムやビニールの手袋が渡されるでもなく、つまりこの作業は素手なのだ!耐火被覆素手で扱うなんて聞いたことないよ。ガラス繊維でチクチク、さらにセメントなので手は荒れるだろう。終わってから石鹸で丁寧に洗ったが、乾いたら手は真っ白だった。セメントが落ちないのだ。人に優しくない現場だな。