茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

日雇い派遣日記(74) 今年の仕事始め

一月×日(金)

                加藤匡通

 十日間の休みの後、今日から仕事。当初の予定では昨日からだったが現場の事情で二転三転、結局入れなかった。で、予定とは別のところに来ている。
 住宅密集地で狭い路地前のアパート。今日は一日ブロック積みのための四人掛かりの人力で穴掘り。普段はユンボで掘削だが狭くてユンボは入れないのだ。手元としてどやされない分僕は楽である。頭を使うより体力勝負の方が全然いい。直線距離で五十メートル強、そんなに固くもなかったので掘りは早く終わり、砕石敷き詰めも終わって現場を三十分だけ早く上がった。これが夏場なら同じ作業が丸一日でも終わらない、とは職人たちの弁。確かに。でも最高気温は都内で七度の予報、朝起きて部屋の中を見たら三度になってた。四十過ぎたおっさんなのでズボン下穿かないと寒くてかなわない。
 現場の目の前が路地ということは現場の正面に車が着けられないということだ。大変だろうと現場にはリヤカーが置いてあった。余った土だの積むブロックだのはこれで運ぶのだろう。多分この現場での僕のメインの仕事はそれだと思う。
 サラリーマンだった頃は仕事始めはたいてい五日、会社に行って社員同士で新年の挨拶をして酒飲んで半日で終わり。今からすれば夢のようだよ。(なんか、昔のことを思い返すとすべてを「夢のようだ」と言っているような気がするな。いかんいかん。)