茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(149)トイレ共同風呂なし二部屋二万五千円

加藤匡通
三月××日(金)
   とうとう現場最寄駅が以前住んでたとこの駅になった。まさか茨城からここに通う日が来ようとは!朝の改札を入るのではなく出る方で見るとはなあ(こう書いたら公安は今の現場を特定しようと張り切るだろうか。もっとも張り切るも何も、今はこの日記を読み込んで分析なんてしなくとも携帯の電波発信探知すりゃ一発だ。)。
  現場は高級住宅地の一角にある。周りは大きくて高そうな、二十三区なら豪邸と言っていい家ばかり。トイレ共同風呂なし二部屋二万五千円とは全くの別世界であまり気持ちのいいものではない。僕が住んでいたのは駅の近くで、だからなのかビルも多く、空に蓋がされているような大変見晴らしの悪いところだった。まあでも立体的な、ある意味都会らしい景色ではあるな。ところが現場近辺は高い建物なんかなく、むしろ平べったい景色である。空は高い。商店もあまりない。何だよ、階級で見える景色まで変わるのかよ。嫌になっちまうな、まったく。
   今日は隣地境界のブロック積みの手元。直線十七、八メートルのブロック積みは珍しい。もちろん家が大きいということだ。積むべきブロックは二百弱ある。職人と手元の二人一組で一日でこのくらいは当たり前だ、とプレッシャーを掛けられ、若い職人と二人仕事。ミキサーでモルタル練って一輪車で運んで小手でブロックの上にモルタル乗っけて、職人がブロック積んだらブロックの穴にモルタル充填して鉄筋通して目地切って汚れを刷毛で洗って。いつもの職人だとこの一連の作業の中で怒鳴られまくるが、今日は静か。平和なものだ、と思ったら片付けまでしたら五時半過ぎてる。これ、結構きついぞ?
  この駅の近くに銭湯はない。少なくとも現場から最寄駅の間にはない。駅を越えて五分以上歩けば一軒ある。僕が住んでいた頃、銭湯は減り続け自宅と駅を挟んで反対方向にある一軒だけが残った。久しぶりで行ってみたい気もするけど、今日はいいや。次にしよう(今日できることは明日やろうというこの性分で、これまでいろんなことが手遅れになってます!)。