茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(126)下駄が割れる

加藤匡通
十月××日(金)
最近行く現場行く現場で古本屋を発見、よせばいいのに覗いては買い込んでしまっている。見かけた本はそこで買っとかないと二度と手に入らないんじゃないかと思っちゃうんだな。なのであまり古本屋に行き当たらない方が財政的にはいいのだ。
先日『戦時下抵抗の研究』を無事手に入れ、一人で読み切る自信がなかったので読書会をしませんかと持ちかけたらOKになった。その時判明したのだが、なんと『戦時下抵抗の研究』はまだ新刊として入手出来たのだ!二十年近く探して一度も見たことがないと前に書いたが当然本屋で見かけたこともない。ニ冊でほぼ今回入手の倍額だった。知っていれば多分本屋に注文して買っていただろう。何ということだ。サラリーマン時代までは新刊として手に入る本は本屋で買い、古書でしか手に入らない本だけを古本屋で買うようにしていた。最近はもうこの原則は守れていないが、いやあ、ここでその原則を破るとは。もちろんこれは必要な本が出版され、入手出来る状態を維持するための原則である。高いからと言って古本屋で半額になるのを待っていたりするといつか廻り廻って自分の首を絞める。
さあ帰ろうと現場で着替えて下駄を引っかけたら割れ始めていた。幸い帰り道に履き物屋があるのを知っていたので新品と替えて帰って来た。下駄はだいたい三カ月で割れるか歯が折れて使えなくなるが、今回は二カ月だった。そんなにひどい履き方したっけか?昔はどの街でも買えたろうが今では古本屋よりはるかに履き物屋は珍しい存在になっている。たまに見かけても僕には手が出せない金額で下駄を売っていたりする。今日は二千七百円で買った。いつも買う店より少し安い。
 ついでに言えば着替えは表から見放題。外溝工事は仮囲いのフェンスなんかなくなった状態でなければ出来ないし、建物の中には何かあった時に責任を問われると面倒なので可能な限り入らない。だから着替えは衆人監視の中で行われる。まだ人が住んでいない庭先で着替えてる訳だ。いや、いつも観客いないけどね。
 建設現場だとこれから工事が始まる更地に最初に乗り込む土工もやはり仮囲いも何もない中着替えることが多い。公園で着替えて警察に通報されたなんてのはよくある話である。
 日雇派遣で行った引っ越し屋も、引っ越し先の路上で「じゃあ今日はもういいから、ここで着替えて」と人を放り出す。そうでなくとも引っ越し屋は日雇派遣を物扱いする傾向が強かったので僕はいい印象を持っていない。ちなみに放り出された一番遠い場所は山梨の上野原で夜九時!