茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(173)

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(173)高円寺で銭湯探して遭難
加藤匡通
八月××日(木)
土間に砕石敷いて転圧もして、現場を片付けて一日か終わった。今日は喜安朗の話を聞きに高円寺へ行く。遅くなると翌朝辛いだろうから今夜は泊まりと母にも伝えてある。四十三になってなんでいちいち外泊許可を親に求めにゃならんのかとも思うが、まあいいや。それよりも毎回外泊理由は運動で浮いた話の一つもない方が問題のような気もするが、これもいいや。宿泊先はいつものカプセルホテルだ。
  高円寺には古本屋がたくさんあり、社会主義関係の本を大量に扱っている店なんかもあって実に楽しい。『バクーニン著作集』を買ったのは高円寺だったと思う。しかしそこに引っかかってたら時間も金もいくらあっても足りないので、極力店の前ではあらぬ方を見て捕まらないようにする。またの機会にゆっくり眺めることにしよう。
なるべく荷物を減らしたいので作業服の替えは持って来ていない。とは言えこの季節に二日続けて同じ作業服を着る気にはならない。汗が発酵するからね。…この場合腐敗か。久しぶりに高円寺の銭湯に入って汗流して洗濯もするか!と脳内は高揚、駅前商店街の銭湯を探した。経験上、二年行かなかった銭湯は半分以上なくなっているが、まさか高円寺の銭湯に限ってそんなことが。高円寺はルンプロないしアンダークラスの街、銭湯がなくなる訳がない。しかし見当たらないので商店街の人に聞いてみた。なくなってた。がーん。確かに十五年前に入ったのが最後だった気はするよ。慌てて『銭湯マップ』を開く。当然駅近辺に何軒かあるので、駅から一番近いところに行こう。商店街からやや外れてたどり着いた銭湯は解体工事がそろそろ始まりそうな塩梅になって佇んでいた。もう時間切れだ。カプセルホテルにコインランドリーはなかったはずだ。今洗濯しないと発酵した作業服(腐敗だっつーの)を着ることになっちまう。いやまさか高円寺で銭湯探して遭難するとは!
どうにかコインランドリーを発見、作業服を突っ込んだものの結局風呂は深夜のカプセルホテルまでお預け。さらにこの後会場が分からずさまよう羽目になる。ああ、話が始まっちゃうよ!