茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(151)手探りで生きてます

加藤匡通
四月××日(木)
  長かった現場も今日で終わりである。門扉の調整や表札の取り付けといった細々とした作業がメイン、僕は片付けだ。
  終盤になるほどゴミの種類も量も増える。それを分別してガラ袋に詰め、タグをつける。忙しくて分別せずに何種類ものゴミを一つの袋に入れたものもあって、そういうのはひっくり返して分別し直さなくてはならない。丁寧に分別してれば当然その分手間になるけど、いい加減に分別すると回収してもらえなかったりするし、業者を集めての会議で名指しで駄目出しされることもあるらしい。大きさや重さも上限があるから、例えばフェンスを梱包した段ボールはそのままでは出せない。六分の一以下でないと持っていってくれなかったりする。ブロック丸々一個はどうにか持っていく。しかし土曜に一度回収したとは思えないゴミの量だな。文字通り山になってるぞ。鉄板敷っぱなしの、今回の工事では手をつけない箇所にゴミを置いているが、鉄板の上だって掃除しなけりゃならない。こっちは一カ月掃除なんかまるでしてないので砂や土が溜まっている。ゴミの量が多過ぎて全部どかして一度に掃除とはいかないので、片付けちゃあどかして掃除とちまちまやっている。
  午前中のハイライトは別にあった。玄関は門柱と土間から成っていてどちらもタイル貼り、門柱にはインターホンなんかの線が通っている。線を通すのもインターホンを取り付けるのも外溝屋の仕事だ。電線はCD管という蛇腹のようなプラスチックの管を通す。この線を土間の場所に置いて埋め戻しの際にどうも一本完全に埋めてしまったらしい。昨日門柱周りに電気関係を取り付けようとして気がついた。たまにある失敗らしいが、これは面倒である。完全に埋めたと言っても線の一方はでている。だからもう一方を掘り出せばいいんだけど、埋めた土の上にはコンクリ、さらにタイルが貼ってある。場所が特定出来ればいいが、見込みないし記憶で掘って出て来なければ全部壊してやり直しすらあり得る。数日分の仕事がぱあだ。考えてたくない事態である。埋めたのはもちろんワタクシでございます。普段なら怒鳴られまくりのところだが今回怒鳴られてないのは、昨日まで誰も気づかなかったからだろう。
  CD管に線通し用のケーブルを入れると先は埋まっているからぶつかって止まる。タイルの上からその音を聞いて場所を特定、タイルを二枚サンダーで一回り小さく切れ込みを入れて壊して剥がす。次にピックで十センチ強のコンクリートをはつる。普段使うスコップより二回り小さいスコップが入るようになったら本格的に作業開始だ。とは言ってもバンバンスコップ振り回す訳にもいかず、というか思い切りスコップ突き立ててCD管破るのもまずいのでおっかなびっくり探り探りである。真下にはないから土間の下に手を突っ込む形で、どこにあるのか分からないからほんとに手探りしてるのだ。出てきた時はほっとしたよ。CD管引っ張り出してつないで土を埋め戻して砕石入れてコンクリ打って、で終わりである。幸いタイル屋はまだ残って作業しているのでタイルの直しはお願いしてある。
  後は片付けだけだ、早上がりだろうと期待していたが、ゴミが多くて片付けは進まず、細々の方も進まず、そろそろ終わりが見えてきたと思ったら、この一カ月聞き慣れた音楽が流れてきた。うお、五時じゃんか!現場を出たのは五時二十分といつもと変わりない。なんだよ。