茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(194)仕事納め

加藤匡通
十ニ月××日(金)
  今日でY社の仕事は終わりである。日雇派遣から数えて丸三年働いたが今日で退職するのだ。まだ次は決まっていないが、取りあえず賃労働はほんの短い間ながら中断だ。
  と言うことで心ウキウキでいいはずだが、数日前から母が風邪で寝込んでいる。当然のように風邪は僕にうつり、夕べから喉がかなり痛い。今朝起きたら何となく熱っぽい気もするが、今日でやめると言う日に休む訳にもいかず、それに現場自体今日が年内最後なので(Y社の仕事は明日まであるらしいが職人の半分は今日まで)片付けやらで大変と分かっているから休めない。体温計ったりして熱があっても動けないくらいの高熱でもなきりゃ休めないんだからおんなじと計らずに家を出た。こんな日に休んだら何言われるか分かったもんじゃないって言うか何を言われるか分かり切ってる。やめるんだからそんなこと気にしなくてもいいだろうとも思うが、やっぱりそこまで笑われるのは気持ちよくない。
  今日の作業は二手に別れてのブロック組積、いつもの作業だ。狭くてやりづらい場所での作業で本数は少ないのになかなか進まない。一輪車はどうにか入るものの脇にブロックを置いて行くことは出来ず、積み手と二人でモルタルをある程度ブロックの上に置いて、一輪車出してブロックに耳を付けて運んで、の繰り返し。耳とはブロックを横に並べた時の縦目地部分にあらかじめモルタルを置いてしまうことを指す。もちろんブロックを置く際には耳は地面に対して垂直になるので付け方が悪ければ耳は落ちる。量が少なければ目地が形にならないし、多ければブロックを置くのに邪魔になる。それでも後からモルタルを充填して鉄筋なんかで押し出して目地を作るよりこの方が早いのだ。
  ブロックが一段落したら片付けだ。道具や電気関係は一週間以上開けるので持ち帰り、ゴミもまとめてとにかく現場をきれいに、と思っていたら天気予報の通りに降って来た。昼休み開けから誰にもはっきり分かるくらいに声が潰れて大きな声も出なくなっている。おかげで職人に何か聞こうにも近づかないと僕の声が届かない。なのに「カトちゃん風邪の振りか」とか言われたりするが、もう面倒臭いのでがらがらの声で「そうです!」としか返さない。熱も上がって来たようだ。その上に雨かよ!慌てて合羽を着て作業続行。
   どうにか格好がついて去年同様封鎖完了の写真を撮って今年の賃労働は終わり。穴の空いた靴も破けた合羽もゴミにして袋に詰めタグを付けた。持ち帰る物は最小限で済むよう数日前から少しずつ動かしている。普段なら着替えて帰るところだがもう着替える気力はない。早く横になりたい。明日から組合のスケジュールが詰まってるんだけど、こりゃ間違いなく動けないぞ。はあ、何でこんなことになるんだか。俺、今日誕生日なのに!