茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(看板に偽りあり)(228)『失踪日記2 アル中病棟』

加藤匡通
十月××日(金)
  吾妻ひでおの新刊が出た。傑作。僕にも大変馴染みがあるテーマである。と言っても僕はアルコール依存症の治療で入院したことはないし、断酒会やAAに通ったこともない。入院は費用の問題で考えもしなかったし、断酒会やAAは、ただでさえ運動で会議があるのにその上さらに会議を増やしたくなかったから行かなかった。なのでこの作品、テーマは馴染み深いが舞台はまるで知らないのだ。抱腹絶倒、いや、読んでる分には楽しそうなところだなあ。さすがに入ろうとは思わないけど。家族の手記はたいてい読んでてつらくなるようなものばかりだが、当人が書いたもの、ことに本になってるものはたいがい明るい(断酒会の冊子に載ってる本人の手記は追い詰められた末の決意表明なので読んでてつらい。)。当事者がとらえ返して文章化するとはそういうことなのかもしれない。僕もそうありたいものである。
  ちなみに僕の場合、幻覚はない。連続飲酒はあると言っていいのかよくわからない。仕事もせずにぶっ通しで何日も飲み続けたことはない。そんな金もなかった。働かなければ酒も飲めなかったとも言える。しかし最盛期は朝出掛けに缶ビール、十時の休憩でワンカップ、昼ももちろんワンカップ、三時の休憩もワンカップ、仕事が終わったら駅まででまた一杯、乗換駅のたびに一杯、と飲み続けていた。そりゃ現場仕事追い出されるよな。これを連続飲酒と言うのか僕にはわからない。手の震えはあった。この手の話は延々と書けるがここで書かなくてもいいような気もする。ここ、あくまで労働組合のブログだから。
  いやいやしかし『SFマガジン』で読んでた吾妻ひでおがこんなまんがを書く日が来ようとは!しかもそれを読んでた小学生がこんなに共感を持って新作を読むとは!
  連休の明ける火曜から働き始めようと思い、派遣会社に電話を入れておいた。この往復運動、そろそろやめたい。