茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(357)養生失敗

加藤匡通
十二月×日(木)
 先週から風邪を引いている。咳と鼻水だけで熱はない。気をつけないと熱が出て仕事を休む羽目に陥るので先週は最近楽しみにしている『逃げるは恥だが役に立つ』も『地味にすごい!校閲ガール 河野悦子』も見ずに早く寝た。おかげで風邪は治りつつあった。
 先週の金曜は新築マンションの消防検査前の片付けに行った。明日には検査だと言うのに散らかり放題で、どのくらい汚いかと言うと現場を見て笑い出したくらいである。消防検査は現場が居住時同様に片付いていないと駄目で、元請けのT社はつい最近、玄関前の外構部分に通路として足場板を敷いておいたら検査に来た消防官が「こんなところを通れと言うのか!」と帰ってしまうと言うナイスな展開を味わっている。僕なぞ、どんだけ偉いんだよ消防官と思うんだが消防検査とはそうしたものらしい。そんな訳で監督は見事にテンパっている。まあそれはいいんだけど、詰所は北向きの部屋内で寒くて仕方ない。かと言って外はもっと寒い。行く所もなく休憩時間一杯身体を冷やし続けた。
  数日後には架設材搬出の仕事で入っている現場で耐火被覆のけれんが廻って来た。一日台車に架設材乗せて下ろして、をちんたら繰り返す作業だったのにその朝だけ予定が変わった。え、そんな用意してませんよ?仕方ない、紙マスクだけ着けてセメントで吹き付けられたガラス繊維をけれんした。どっちも喉に悪い材料で、きっと相乗効果が期待出来る。しかもけれんするのは天井の梁の鉄骨、当然頭から被ることになった。
  昨日はまた千葉で鉄筋をこすっていた。天気予報では翌日、つまり今日は雨。この寒い中、屋外で合羽来ての作業は遠慮したいし、土砂降りで常時鉄筋を洗い流している状態にでもならない限り錆も落ちない。下手すりゃ後日ウエスで錆を拭き取りに来ることになりかねない。初日には雨でもやると言っていたので恐る恐る監督に聞いてみた。一日開けましょうと言ったので安心した。
  一日開くのならフィルムセンターの東ドイツ映画特集の『裸で狼の群れの中に』を見に行こうと休みにした。昔、零細映画会社のサラリーマンだった頃に会社にフィルムがあって会社の労組で上映会をしたことがある。が、映画については何も覚えていない。原作は日本でもベストセラーになったそうだが、僕が初めてこの本を知った高校一年の時は、少なくとも同世代は誰も知らなかった。原作を読んだのは何年か前だ。
 で今日。冷やしたり喉を苛めたりで体調は悪いが『裸で狼の群れの中に』は見たい。けど休みなので腰の方のの医者にかかりに行って、念のため風邪の方の医者にも行ってみた。熱はありますかと聞かれ、わからないと答えたら体温計を渡され、測ったら三十七度あった。朝でこれじゃ夜は間違いなく上がる。フィルムセンター無理だな。養生屋が養生に失敗したってとこか、わっはっは(全く嬉しくない)。