茨城不安定労働組合

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賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(318)鳶の相番クリーニング

七月××日(月)
 鳶の足場ばらし相番と言う作業がある。鳶職が足場を解体するのに合わせて、足場がなくなったら出来なくなってしまう作業をしていくことを指してそう呼ぶ。壁の汚れなどの塗装やクリーニングは本来足場ばらしの前に終わっているはずなのでこの作業にはあまり含まれない。ガラスサッシのクリーニングも本来はばらし前に終わっているのであまり含まれない。多いのは足場繋ぎを外した跡の穴にシール材を打ち、その上に塗装するパターンである。で、この作業のおまけのようにシールやペンキの汚れ、あるいは鳶が壁に着けた靴跡みたいなもののクリーニングがある場合がある。今日の作業はこれ、養生・クリーニングのR社の現場だ。しかし壁なんか汚れやしねえ。足場に登って鳶や塗装屋のいる二段くらい下でお呼びがかかるのを待っているだけ。最上段で直射日光の下で足場をばらしている鳶とは比較にならないほどにラクではあるが、ほとんどすることがないのも辛いものがある。じっとしていても汗が吹き出す今日の最高気温は都内で三十六度と聞いている。足場に張られているメッシュシートで直射日光は遮られ、時折風も抜けていくから外仕事にしちゃ悪くないんだが。
 この作業は今日で三日目、土曜まではこうじゃなかった。はめ殺しの窓をクリーニングし、ベランダの手摺の外側をクリーニングし、と動き回っていた。特にベランダ手摺は埃がつきまくりで凸凹した外面を全部水拭きするのはかなりの手間、手の遅い僕では鳶に追いつかれてしまうと気が気じゃなかった。だから多少余裕があった土曜は先行して鳶が月曜にやるスパンの足場のクリーニングをしてた。ところが土曜の夕方、「手摺は三回クリーニングしてるからやらなくていいですよ。」と職長に言われて拍子抜け。なんだ、そうだったの。かくして追い立てられてた土曜日からやることのない月曜日になったのだった。追い立てられるよりはいいけどね。
 ちなみに作業場所は地上十三階。足場は躯体と壁繋ぎと言う部材で繋がっているが、当然足場を解体する訳だから壁繋ぎを外しているのはさっき書いた。そうすると四段くらいの足場がどこにも固定されていない状態になる。一段一・八メートルの四段で七メートル強の高さだ。鳶が歩いたり何かするたびに足場は右へ左へと揺れる。いや、この感覚は久し振りだ。昔は日雇派遣で鳶の手元として足場に登ったこともあったし、土工時代は会社が鳶土工の両方をやっていたので(大抵両方やってる。)足場の組みもばらしもやってはいたが、いずれにせよ十五年以上前、忘れていることは多い。もうあの最上段で作業するのは無理だ。足がすくむよ。