茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(348)東京にもオリンピックはいらない

加藤匡通
八月××日(火)
  朝起きるとNHKをつけてニュースを流しながら出掛ける準備をしている。別にNHKのニュースに信頼を置いている訳ではなく、民放だと芸能だのスポーツだのが大きくてうるさくて敵わないからだ。芸能人が不倫しようが豪邸建てようがどうでもいいし、野球やサッカーの順位も全くもってどうでもいい。こちとら「マジックのナンバー」と言う意味を四十過ぎるまで知らなかった人間である。余裕があれば新聞も読むようにしているが、こっちはなかなか難しい。ニュースを見ているのは四時半から五時半くらいまでだ。
 オリンピックが終わってやっと朝のニュースが戻ってきた。早朝のオリンピック生中継は見たい人にはたまらないだろうが、見たくない人にもたまらないのだ。天気予報もわからねーじゃねーか。だいたい画面で競技の結果が今流れたのにニュース速報の字幕であらためて流すなんて何考えてんだ。朝から国威発揚なんてうるさくてかなわない。表彰台に立つ選手は全員自国の不正義に抗議して握り拳を突き上げるべきだ。リオのオリンピックは開始直前だかに大規模な反対のデモがあってこれはこの国の新聞でも報道された。しかしその後はひたすらメダルの数を数え続け、オリンピックが行われることによってブラジル、リオがどんな状態になっているのかは全く報道されない。そんなもの、見たくないんだろうな。
 もちろん建築現場の詰所は社会の縮図であって、みんな朝から誰々がメダルを取ったと話しているのだった。僕はそれを苦虫噛み潰したような顔で聞き流している。