茨城不安定労働組合

誰でも入れるひとりでも入れる労働組合である茨城不安定労働組合のブログです。

賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(364)養生に泣く

加藤匡通
ニ月××日(金)
 去年から何度も入った現場に来ている。既存ビルを半分残しつつ解体している現場で、作業はOAフロアの撤去から始まって養生、仮設材搬出といろいろである。今回は今日で四日目、これまでは養生撤去と清掃だったものが今日は養生だ。
 OAフロアが敷いてある部屋の一部、小部屋の入口のOAフロアをめくり、下のコンクリの床を少しだけはつると言う。はつるのははつり屋の仕事、僕たちははつり屋が作業出来るように準備をする。めくった周囲のOAフロアに埃が入らないよう養生をし、さらに小部屋の入口の扉に覆い被せるように養生をする。はつっているところからなるべく埃が出ないように、と言うことだ。二人一組での作業と聞いていたがベテランのもう一人は先行してOAフロアをめくっている。養生は僕一人だ。
  床の養生は難なく出来る。問題は扉である。扉の片面にはドアクローザーが付いている。扉の上に出っ張って付いている、扉がばたんと閉まらないための装置だ。扉を開いた状態にして、これも含めてフィルムと呼んでいる薄いビニールシートをかけるんだが、すっぽり包んだ形にするのが難しく、ちっとも進まない。午前中に結局一部屋しか完成しなかった(実はそれすら完成ではなかったんだが)時には泣きたくなった。昼休み明けにOAフロアをめくっている相方は覗きに来たものの「そのやり方でいい。」と言ってOAフロアをめくりに戻ってしまった。仕方なく泣きながら一人でドアクローザーと格闘し、その日四部屋、どうにか一階分だけは終わらせた。朝の会話からすると本来のノルマは四階分のはずで、これは全くお話にならないレベルである。丸一日やってどうにかやり方がわかり、次からはもっと早く出来るんじゃないかとは思うんだが、そんな手の遅い奴は要らないよな。