茨城不安定労働組合

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賃[貧困文学]賃金奴隷な日々 日雇派遣日記(365)ブレミアムフライデーに『ニュートン・ナイト』

加藤匡通
ニ月××日(金)
 都心のビルの解体に来ている。とは言っても解体はこれから、解体前の場内整理と言ったところで、メインの作業は各階トイレのドアだの鏡だの便器のふただのに片っ端が使用禁止の貼り紙を貼ることだった。大して広いビルでもなく、高さもないから午前いっぱいかからない。昼休みは警備員と交代して車の監視をして(棒は振らない。誘導していいのは警備員だけ、僕やったら法律違反になるのだ。)、午後は玄関の合鍵を鍵束の中から捜索、とラクなものばかり。あ、いや、警備員の代理はあんまりラクじゃないか。三時には現場そのものが閉められた。少し離れた事務所に移動し、事務所に届いたゴミ箱を設置して解放されたが、ゴミ箱設置ったってよく見かける腰くらいまでの高さのプラスチック製の、本体とふたが別れているタイプで、「このくらい自分でやれよ!」と監督を叱りつけたくなる簡単な作業だ。ま、早く上がれるんだから叱られなくてもいいか。
 さて映画でも、といつものように考えて、前日に調べた時間を確認してみた。今日は新宿で『未来を花束にして』を見て日曜の夜に『ニュートン・ナイト』を見るつもりで時間も確認してある。携帯で確認して愕然。『未来を花束にして』の夜の回がなくなっている。金曜から上映時間が変わったらしい。最近は土曜封切りだけでなく金曜封切りもあるから金曜から時間が変わるケースがあるのか!改めて調べたら舞浜で夜の回がある。うーん、舞浜かあ。舞浜シネマイクスピアリに電話してみた。来週夜の回があるか聞いたら上映そのものが今日までと言われ、舞浜まで出るつもりになった。念のためにと日曜に行く予定の新宿武蔵野館の『ニュートン・ナイト』の上映時間も携帯で確認してまた愕然。き、昨日電話で問い合わせて日曜は夜の回があると聞いたのに、夜の回がなくなっている!映画館に電話して日曜の夜が消滅したと確認、今日の夜の回はあると言われた。最早全ての映画館はシネコン化し上映時間は流動化、何を信じればいいのかわかりゃしない。今紙の『ぴあ』が週間で出ていても上映時間はあてに出来ないだろうな(『ぴあ』末期の映画のページではシネコンの上映時間は流動的なので載っていなかったことを思い出すよ。)。移動と帰宅時間も考え『ニュートン・ナイト』を見ることにした。
 『ニュートン・ナイト 自由の旗を掲げた男』は南北戦争時の南部で「ジョーンズ自由国』(パンフにもあったが州より国の方が正しい翻訳だろう。)を立ち上げた実話である。映画も面白かったし、史実も実に興味深いが日本語の文献なんてないんだろうな。明確に社会主義で、いやそれどころかアナーキズム的ですらある。あのアメリカ合州国でそんなことが!
 一日が終わって帰宅してからニュースを見ていたら、今日はプレミアムフライデーだとはしゃいでいた。早上がりで消費拡大とは涙ぐましい。そんなの大手企業しか出来ないと思うが金を持っているのも同じ層だから辻褄は合うのか。本気で消費拡大させたいなら最低賃金千五百円とかの方が有効だと思うけど、したいのが生活水準の全般的な底上げとかじゃないんだろうから政府としてはこの程度でいいんだろうな。
  ん、今日早上がりだったのはプレミアムフライデーだからなのか?これはこれは、ワタクシのような日雇派遣にまでおこぼれを下さるとは日本国政府様有難うございます。これがアベノミクスなのですね!ただ、出来れば全ての日雇いの最低日当を一万円にするとか、社会保険料分を今の日当に上乗せしてもらった方が・・・あ、日本国政府にそんな能力も意思もありませんか。それは失礼いたしました。ニュートン・ナイトの爪の垢でも煎じてみてはいかがですか?