茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(556)長い夏休みの始まり

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(一人親方)(556)長い夏休みの始まり
加藤匡通
八月×日(木)
 明日から盆休みと言う朝に「一日延びたから明日まで仕事あるよ。」と言われた。映画を見るつもりだったが先行きが大変不安なので映画を諦めて現場に出た。
 モルタル穴埋めや掃除が作業内容だったので、監督としてもなるべく仕事を作ってV社の仕事を維持しようとしているのは分かった。この配管改修工事でV社は給水配管担当だが、給水配管は昨日で終わっている。しゃかりきになってする作業ではないし、三時には全部終わって現場を出ているだろうから、監督としては「明日から休み」と言って何の問題もないはずだ。楽な仕事が増えるのはありがたいことである。
 案の定早く終わり、諦めてた『アナザー・カントリー』に間に合うかもしれないと詰所で慌てて着替えていた。他の職人はとっとと帰り、職長も着替え終わっている。「待たなくていいですよ。」と言おうとしたら「加藤さん、盆休み明けの土曜に来たら終わりだって。」。へ?
 昨日休み明けたら定期買っていいって言ったじゃないですか!とは思わなかった。休み明けに人数が減るかもしれないと聞いてはいる。給水配管は二班でやっていて、だから一日に二部屋こなしているんだが二班の作業速度が違いすぎていて監督からいろいろ言われていた。一班は二時過ぎには終わって多職の職人たちも終わってるのに、もう一班は五時近くまでかかればそりゃ文句も出るだろ。監督だって現場が早く終わればその後が楽だ。それで僕のいるV社からは一班でいい、もう一班は他から出す、となりそうだと聞いていた。一班は三人で、僕は遅い方の班に属する。実は直近のほぼ一週間、給水配管は毎日一部屋で、やや余り気味だが四人で作業していたのだ。要らないよなあ、僕は。
 V社に次の現場はないと聞いている。さて、どうしたものか。
 しかしそんなことより映画だ。汗だくで池袋の新文芸坐に駆け込み『アナザー・カントリー』を見た。映画館はこれで五回目か。初めて見た高校生の頃はジャドがスペイン内戦で死んだと言われても何のことだかわからなかった。ルパート・エヴェレットしか眼中になかったかもしれない。この映画のような、何度見ても色褪せない映画を何本も知っている僕は幸せなんだと思う。