茨城不安定労働組合

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日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(560)平和堂書店閉店

日雇派遣日記 賃金奴隷な日々(日雇)(560)平和堂書店閉店
加藤匡通
十月××日(水)
 設備V社の仕事が戻ってきた。と思ったら十日も続かずに途切れた。次がいつなのかわからない。これで給料が二週間後ではどうにもならない。せめて一か月は続いてくれないと。もうV社は無理かな。
 幸い、直前まで通っていた工場改修の仕事にすぐ入れた。撤去材の搬出もそんなに辛い季節ではなくなった。仕事が空くようなら来てくれ、と職長から言われている。ありがたい話である。この仕事は日払い、結局また戻っている。もう抜けらんないかも。
 関東鉄道竜ケ崎線竜ケ崎駅から始まる商店街には本屋が三軒ある。この商店街はかなり距離の長い商店街で、今でこそ開いている店は減ったものの、以前は歩いている人も多かったのだろうと思われる。長い距離にも関わらず、三軒の本屋のうち二軒はかなり近くにあって、どうなってるのかと思っていた。駅に近いほうから順に栄文堂書店、菅井書店、平和堂書店の三軒だが、最近ビラを置いてもらうのはもっぱら最初の二軒になっていた。三軒全部にビラを置いてもらわなくてもいいか、程度の気持ちだった。
 久し振りで三軒とも廻ろうと、平和堂書店のある道に入った。通り過ぎた。あれ?行き過ぎちゃったぞ?Uターンして絶句した。店があるべきところに飲み屋が入っている。ああ、ここもか。二年くらいは来ていなかったのだと思う。閉店の貼り紙すら見ずに終わってしまった。
 残っている二軒も、あと何年続けてくれるだろうか。行くごとに本の数は減っていっている。
 郊外型店舗の並ぶ地域には蔦屋書店が入ったと聞き行ってみたが、僕にはまるで面白くなかった。ここには古本市場も入っていたが、CDやDVDばかりでなんと本は一冊もなかった。それじゃ詐欺だよ。
 県内でビラを置きに本屋を廻っているが、住所を頼りに行った店はとっくに閉まっていることが多い。先日店内に本が残されたまま屋根が落ち、廃墟と化していた店を見つけたときは泣きたくなった。開けている気配はないが店の前からガラス越しに覗いていると人が出てきて、「開いてますか?」と聞いたら「数が少ないから開けてない。」と答えられたこともあった。定期購読だけ配っているのだろうか。
 もちろん本屋だけの話ではない。商店街と呼ぶのをためらうようなシャッターの下りた街を車で通り抜ける時の切なさったらない。あるいは、とうに店がなくなっている通りに残る○○商店街の看板の侘しさたるや。通りに二軒だけ、それも端と端に店があって、そこがかつて商店街だったと気づいた時の。
 この国は衰退過程に入っていると実感するのはこうした時だ。多分地方はどこもこんなだ。疲弊して、潰れて忘れられていく。歩いて買い物が出来る街がどれだけ残っているのだろう。小泉改革が、と言ってももう二十年以上前の話だ。最近は、初めて行く地域での置きビラに現実を突きつけられてあまり楽しくない。